• 【東京・埼玉で税理士事務所をお探しの方へ。第一経理は中小企業の皆様に、身近でかけがえのないコンサルタントとして60年超の実績があります。】

第一経理ニュース

大震災に負けない、仕事確保に全力、人を大切にする経営

株式会社 教宣文化社
代表取締役 中村 伸一 氏

 練馬に本社、所沢に2ヵ所の物流配送センターをもつ株式会社教宣文化社。1963年6月に設立して以来、印刷商品を中心に全国への発送・輸送(配送)などの物流事業を担い、48年の歴史があります。中村社長から大震災に負けない経営努力、人を大切にする経営などについて、お話を伺いました。

 

聞き手 : 編集長 武江 勇

◆ 大震災に負けない


―― 3月11日の未曾有の大震災、3ヵ月が経過しましたが、経営、業務に与えた被害、影響など、差し障りのない範囲で、お聞かせ下さい。
 

 

代表取締役 中村伸一氏

社長 : 東北地方に取引先はありません。また、会社の建物などにヒビが入ることもなく、直接的な被害はありませんでした。
 ただ、当日、午後3時ちょっと前、トラックを運転しているドライバーさんとの連絡が取れなくなり、現場が混乱しました。
 地震があった当初は、道路もそんなに混雑しておらず、午後9時頃には、全員の無事が確認できました。
 当社は、新聞輸送を行っています。
 翌日の新聞の発行を如何に補償するかという点では、首都圏、山梨、長野、新潟、静岡までが配送の範囲になっていますので、主に地方の配送については、地元の業者さんが、東京まで取りに来てもらい、地元に運ぶ体制にしました。
 首都圏に入ると交通渋滞で遅れてしまう危惧がありましたので、当社の従業員が待機をして、必要であれば、途中まで新聞を中継する体制を取っていました。
 所沢にある2つの事業所のパート社員ついては、近辺にお住まいの方が多かったので、早めに帰らせ、自宅の安全・被害確認をしてもらいました。余震もあり、引き続き作業ができない状況でしたが、必要なことは、従業員が対応しました。
 帰宅できない従業員も何人かいましたが、会社の車などに分乗して帰るとか歩いて帰るなどしてもらい、遠くに住んでいるものについては、会社に泊まることを考えました。
 計画停電が実施され、所沢では、機械の停止により作業が停滞しました。
 トラックの燃料確保のために地震後一週間は、とても苦労しました。

 

 


―― 震災後に於ける取引先に対する変化、負けない経営努力など、お聞かせ下さい。

 

 社長 : 全国規模で発行している、しんぶん「赤旗」を首都圏に配送しています。
 震災により東北地方の印刷所で印刷ができないため、東京で印刷する体制になりました。
 飛行機を利用することになり、当社で飛行場まで新聞を運びました。
 医療関係の支援物資をいわきまで運ぶなど、お客様の要望があれば震災で被害を受けたところにも、品物を運ぶ体制を作りました。
 トラック協会に加盟しています。
 要請があれば、対応することにしていました。
 得意先の関係では、地震の影響で仕事がなくなったところがいくつかありました。3月の年度末で書き入れ時だったのですが、イベントのチラシが中止になったりしました。
 会社の震災への対応は、震災後、一週間は、出勤が困難な従業員に対して、会社の車を使い集団で出勤、退勤するなどの手立てを取りました。
 長引く不況の中、私たちが関係する印刷物は、震災に関わらず、絶対量が減っています。
 紙媒体ではなく、違う媒体でのシフトになってきています。

 


 ―― 震災をはじめ厳しい経営状況の中、仕事の確保の取り組みについて、お聞かせ下さい。

 

 社長 : 既存の得意先からの紹介もあります。
 大量にあり、自社だけではできない作業については、まわりの協力会社さんにお願いして、作業をきちんとやるように進めてきました。
 4月5月は、年度が明けて、仕事が少なくなる時期です。
 協力会社さんとの連携による納期の厳守、また紙媒体ではなく、それ以外の媒体にシフトする戦略で病院関係の包帯、マスク、手袋、注射器などの配送が増えて、一定の成果を上げています。

 


 ―― 会社の創業から現在まで、お聞かせ下さい。

 

所沢物流センター 職場風景

 社長 : 1963年6月、渋谷区千駄ヶ谷で、あかつき印刷の出版物の梱包・配送を主な業務として設立されました。
 1976年、練馬区豊玉北に社屋を建築、本社を移転しました。
 「赤旗」の輸送管理を受託し、輸送センターを設置しました。
 その後、貨物運送業免許取得、コンピュータによる発送管理システムの稼働など、総合物流業として、OA化を進めてきました。
 1994年、所沢物流センターを開設しました。
 2009年、東所沢物流センターを開設し、本社の配送代行部分を移管しました。
 この間、プライバシーマーク、安全性優良事業所認可など取得しました。
 印刷物の丁合、折り、梱包、保管、配送と総合物流業としての地位を確立しました。
 取引先としては、しんぶん「赤旗」関係、各種・業界団体、労働組合、印刷会社、など300団体(社)ほどになります。
 従業員は、パート社員を含めて、120人近い規模となりました。

 


 ―― 会社の業務内容についてお聞かせ下さい。

 

 社長 : 一般貨物運送事業があり、首都圏を中心に輸送をしています。
 最大の輸送は、しんぶん「赤旗」で関東甲信越へ配送しています。
 また、病院関係の医材薬剤の配送にも力を入れています。
 発送代行事業は、それぞれの団体が発行している新聞とか雑誌、宣伝物などを郵送・メール便・宅配便など利用して発送しています。
 所沢物流センターでは、2005年から、小学生の学習参考書やお客様から預かっている商品(化粧品)などを保管し発送しています。
 その他の事業としては、システム開発なども行っています。

 


 ―― 競合他社との違い、特徴点などお聞かせ下さい。

 

 社長 : 総合物流業として、お客様の要望に100%応えていくように努めています。印刷後の製本・梱包・保管から依頼に応じた発送までトータルで仕事を受けています。
 所沢での学習参考書は、断裁から製本すべてやり、商品となる作業をしています。
 営業用のトラックを持っているので印刷の終わったものを、取りに伺うとか、印刷所さんの運搬手配までこちらでしています。
 トータル的に受けて、作業しています。
 発送代行業としては、大規模ではありません。
 印刷物の加工や倉庫を利用しての保管と配送、お客様の声を聞きながら、事業展開しています。
 お客様目線で作業するように従業員には指示しています。

 


 ―― 企業理念について、お聞かせ下さい。

 

 社長 : 毎年の経営計画のなか、提示、再確認しています。
 当社の経営理念は次の四つです。

 

① 諸団体の宣伝・出版物の物流事業を通じて、「国民が主人公」の政治を実現する運動に貢献する目的をもった企業体です。
② 生産活動で生み出された利潤は、経営目的遂行のための投資と従業員の労働力の再生産・生活改善に還元分配されます。
③ 物流関連業者をはじめ、中小企業との協力・共同の関係を強め、「社会的地位の向上」のために奮闘します。
④ 従業員は、自覚的に自己研鑽に励み、民主的・社会的マナーを身につけ、信頼関係を基礎に団結し、「発送・輸送センター」の砦を守り、発展させるために奮闘します。

 

◆  人を大切にする経営


 ―― 人を大切にする経営の推進について、お聞かせ下さい。

 

 社長 : 仕事の内容が労働集約型です。トラックのドライバーは、交通事故の危険があります。交通法規を守るとか、常に研修を実施しています。
 発送部門も基本は、人間の労働力です。働いている人が健康でないと良い仕事はできません。健康を守る意識を育てていく必要があります。
 一人一人の働いている人を大事にすることを、たえず考えています。
 健康管理につては、定期的な健康診断、産業医による相談・指導、メンタルヘルスの関係では、休職から復職にあたって、復職プログラムの設定、産業医との面談など行っています。
 パート社員についても有給休暇の取得をはじめ、賞与、退職金、慶弔休暇など、従業員と同じように労働条件を規定しています。
 陸前高田出身の従業員のお父さんが今回の震災で亡くなられ、実家に戻るため退職したのですが、激励の送別会を開き、会社のトラックを使い、荷物をはじめ引越しの手伝いをしました。

 


 ―― 仕事と家庭の両立支援やワークライフバランスを推進されています。具体的な内容など お聞かせ下さい。

 

 社長 : 労働組合と協議をしながら進めてきています。
 子の看護休暇については、年間5日まで有給取得できる、法令を上回る内容となっています。
 この7月には、当社では初めてになりますが、男性の育児休業取得者が出ます。
 代替要員を採用し他の従業員の負担にならないように配慮しています。
 2008年、東京都の次世代育成サポート企業に登録、仕事と家庭の両立にやさしい会社として、社内及び社外にアピールしています。
 職場意識改善計画の認定を受け、国の支援を受けながら、ワークライフバランスを進めてきました。
 社会保険労務士に講師をお願いし、従業員の意識啓発をしています。
 若い従業員の仕事に対する意識の変化ということがありますから、管理職の意識改革は重要です。
 60歳定年、65歳まで継続雇用で働けますが、定年前58歳時に年金見込み額や加入期間、雇用保険給付金など調査を専門家である社会保険労務士に委託して、60歳以降の働き方の選択などの個別相談会を開いています。

東所沢物流センター外観

 


 ―― 会社の今後について、お聞かせ下さい

 

 社長 : 練馬の本社と所沢に物流センター2ヵ所ありますが、トータルに仕事を進めていく上では、事業所が分散しているとトータルに仕事ができません。
 1つの大きな物流センターを作り1ヵ所にまとめることを目標としています。
 65歳まで働けますが、年金が減らされているなど、ほとんどの人が65歳まで働かないと生活設計ができない現状です。
 その結果、会社全体の従業員構成が高年齢となってきています。
 そうすると会社の発展性がないので若い人を雇用して、技術の伝承などをやっていく必要があります。
 支援制度を活用して若い人を採用できる会社を目指しています。
 印刷媒体が今後、増えることは期待できません。
 違う分野を開拓、事業展開を考えないといけません。
 インターネットを利用して、ウエッブでの受注を目指していきたいと考えています。
 現在は、ファックスで来ている配送依頼をネットを使って受注し配送していくことを考えています。

 


 ―― 本日は、有難う御座いました。

 

  設立の原点は、物流事業を通じて日本の平和と国民生活の向上に寄与する事、今後、ますますの発展を期待したいです。 

(文責 武江 勇)