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第一経理ニュース

我が社の原点

ちょっと変わった視点からのものづくり  ~アメリカ製のサンプルカッターに挑戦~

 

 

 

 


株式会社 ヒューマンテック
代表取締役 早坂 幸男
(はやさか さちお) 

 株式会社ヒューマンテックさんは設立22期目。東京都板橋区で産業ロボット開発を手掛けています。『夢がなければ生きてゆけません。夢だけでは食べてゆけません。だから現実に!』をモットーに事業を展開。ハードからソフトまで自社で一貫して開発するベンチャー企業です。常に新たな技術を追い求める社長に、現在の主力製品であるサンプルカッターの開発と経営の思いをお伺いしました。

 



聞き手 : 埼玉事務所 請園 直之

 ● サンプルカッターとは

 

―具体的な仕事の内容を教えて下さい。

 

早坂 : 我が社は産業ロボット開発で、お客様のニーズに合わせたメカ、ハード、ソフトを自社で一貫して開発を行ってきたベンチャー企業です。
 現在は、サンプルカッターという製品の製造が主力になっています。

 

―サンプルカッターとはどのような製品ですか。

 

縦型シングルヘッドサンプルカッター

早坂 : カッター刃をパソコンで制御することで、思い通りに切ったり、彫ったりできるのが特徴です。製品は主に企業の研究開発に利用されています。

 例えば家電製品を梱包している段ボール箱などのデザイン、コスト、特許の研究開発です。
 新型の家電製品やパソコンが発売されると、いままでの製品とは異なる大きさや材質、デザインになるため、それに合わせて箱のデザインや大きさ、強度も変える必要が出てきます。
 どうやって一枚の段ボールを切れば効率的で、強度のあるものになるのかをサンプルカッターを使って試作品を製作するのです。
 試作品は落下試験や何段詰みに耐えられるかの実験のために50個~100個程作ります。
 そして、梱包されたものを落として中身が壊れないか、どれ位の重さでつぶれるのかなどのテストに使い、さらにトラックの積載容量に対してどのような形、大きさだと効率的に積めるのかという積載効率を上げるためにも一役かっています。他には、段ボールをテーブルなどの家具にすることもできます。
 段ボール製品以外では建築資材や発泡スチロール、畳などを模様のあるデザインにカットしたりできます。

 

● 製品開発の原点

 

―会社設立の前はどのようなお仕事をしていましたか。

 

早坂 : ある大手音響機器メーカーに20年近く勤めて、商品企画、社長室、生産、設計などいろいろな部署の仕事をしました。
 その会社で大型コンピュータの導入を担当し、これからはコンピュータの時代だと思うようになりました。日本にまだマイコンやパソコンのない時代です。
 その後、ロボットを研究している会社に誘われ、ロボットの設計と開発の仕事をしました。
 10年程勤め、ロボットのメンテナンス業務を請負う形で、我が社の前身となる設計会社を設立しました。今の仕事の原点になる技術と設計のノウハウはここで培いました。

 

―サンプルカッター開発のきっかけを教えて下さい。

 

早坂 : サンプルカッターの開発の前に、自動トンボ描画機を開発しました。この製品はオフセット印刷の元となる平版に写真や原稿を自動で描画するものです。
 製品開発の際、描画の誤差が100分の2㎜以下となるような、高い精度を求められました。印刷したときに透かして見て、誤差が分かるのが100分の4㎜を超えるときです。
 この高精度な描画機の開発に成功し、ノウハウを蓄積出来たことが、サンプルカッターの開発にも大いに役立ちました。

 

● アメリカ製に挑戦

 

早坂 : 我が社がサンプルカッターの開発に取り組んだのは、アメリカからサンプルカッターの一号機が入ってきた時からです。
 これを我が社で開発できないだろうかという話がありました。
 実際に製品を見てみると、とにかく大きくてごつい。さらに値段が3,200万円です。私はこの機械に将来性があるとは思えませんでした。
 大きくてごつい機械は頑丈で良いという評価もありましたが、私はこれからの時代はスピード・軽量・コンパクトで、構造上いかに丈夫にするかというのが技術の水準となると考えていました。
 そこで、よりコンパクトで低価格を目指した製品の開発に取り掛かりました。アメリカ製の機械は平置きだったのですが、機械を縦置きにすることでコンパクト化し、省スペースを実現することが出来ました。
 価格も1,800万円と大幅なコストダウンに成功しました。発売すると同時にものすごい反響がありました。
 一方では、こんな重たいヘッド(カッター刃を搭載したアームの部分)をものすごいスピードで動かして同じ位置に正確に止まるはずがない。ベルトが切れてヘッドが人の上に落下したら怪我では済まないのでないかなど、いろいろなことを言われました。
 しかし、2年、3年経つと誰もそういったことを言う人はいなくなりました。我が社の技術が市場に浸透していったのだと思います。

納品前のサンプルカッター 綿密なプロクラムの打ち合わせ中

 

● 海外の代理店開拓も社長の役目

 

―製品のメンテナンスもされているとのことですが。

 

早坂 : 我が社のサンプルカッタ―の納品先は沖縄を除いた全国400社程。海外には7カ国の取引先があります。
 納品後のアフターサービスにも力を入れており、自社でメンテナンス部門を設ける他、大阪にメンテナンス業務を委託しているところがあります。
 海外の納品先へのアフターサービスは、日本商社を使わずに海外提携先の商社ができるようにしています。提携先の商社は、私が直接現地に行き交渉をして開拓しています。
 製品を販売するだけでなくメンテナンスもできることが必要なので、力がある商社と提携をしています。
 製品はそれぞれ一台ずつ中身が異なるため、現地のスタッフだけで直せない場合は直接現地に当社スタッフを派遣して、メンテナンスを行うこともあります。

 

● 海外のサンプルカッター市場

 

―海外とも取引があるとのことですが、海外市場はどういった状況にありますか。

 

早坂 : ヨーロッパは靴などの革産業が発達しているので、革を切るという必要性からサンプルカッターが発達してきました。
 サンプルカッターの市場は大きく分けて、イタリア、ドイツ、スウェーデンなどのヨーロッパ、日本そしてアメリカの三極になります。
 最近は安価なコピー製品として中国製、韓国製も増えてきています。
 自社製品の輸出先は東南アジアがほとんどです。なぜ、私がヨーロッパで取引を行わないかというと、ヨーロッパは環境配慮などへの規制が厳しいのです。
 例えばハンダは鉛を使ってはいけないとか、いろいろと厳しい規格があるので、それに対応するためには相当な資金と開発時間がかかるのです。
 本当はそういう市場の特性に合わせ、それぞれの市場に合った製品を開発していければ良いのですけどね。
 現在取引のある東南アジアの市場は安価な製品との競争に見舞われています。海外市場に挑むうえでは、国内できちんと実績を積み、足元を固めてからでないと競争には勝てないという気持ちをずっと持っています。
 「国内で勝てないと海外に行っても勝てない」ということです。

 

● 国際展示会に出展

 

―自社製品のアピールはどのように行っていますか。 

サンプルカッターで製作した段ボールのテーブル

早坂 : 主に国際展示会に出展しています。国際と名のつく展示会は日本企業だけでなく、海外企業も参加するので、広く自社製品を知って頂ける良い機会と考えています。
 先日、日本で行われた国際プラスチックフェアにも出展しました。出展したからといって、すぐに目に見えた反響があるということはありません。
 しかし、半年、1年経った頃には製品の問い合わせや受注が増えたりすることもあります。
 他には業界向けの雑誌記事の掲載、自社製品を掲載したニュース記事の発行なども手掛けています。
 

 

● 全ての面でヒューマンでありたい

 

―ヒューマンテックという社名の由来を教えて下さい。

 

早坂 : 個人事業を営んでいたときから、屋号は「ヒューマンテック」としていました。
 社名がかっこいいと言われたことも何度かありましたが、かっこよさでつけたわけではありません。
 なんとか最先端技術を伝統技術と融合して世の中のために役立つ製品を作りたい、世の中の役に立つ会社になりたいという願望を込めてこの社名にしました。
 全ての面でヒューマンでありたい。製品も経営のあり方もです。

 

―製品開発の要となる従業員さんにいつもお話になっていることはありますか。

ニュートンボエース CH100 シリーズ

 

早坂 : メンテナンスで得意先にいったら、「仕事の前後も含めて周りの機械も全部見てこい。それがわからないと良い機械は作れないよ。」と指導しています。
 自社製品の開発だけで、ああだこうだとやっていたのでは駄目です。最低でも得意先の業界用語でお客様と話ができるようになることが必要なのです。
 お客様は自社の仕事についてはプロですからすごく詳しい。我々は様々な業界を見ているから普遍的なことはよく知っています。
 しかし、得意先の会社を一番知っているのはお客様なのです。

 

 

―異業種交流グループの活動も盛んですね。

 

早坂 : 東京で三つのグループに加入しています。一つはベンチャー企業のグループで、目的は開発推進と共同開発です。
 実際の取り組みとしては、設計の一部を手伝うなど外注委託的なことを行います。共同開発はあまり上手くいかないですね。
 グループの交流会では能率主義・効率主義的な考え方がはびこっていて、どうやって利益を出すかという事に終始してしまいます。

大型ツインヘッドサンプルカッター


 我が社はそういうことができる会社ではないし、能率主義・効率主義を徹底したとして、では何を目指して経営をするのだということになるわけです。
 我が社としては、厳しい時代だからこそ一つにまとまってパワーを発揮できる企業を目指しています。
 そして、そういう理念に共鳴してくれる人財こそが何よりも重要だと思うのです。

 

● ちょっと変わった視点からのものづくり

 

―これからの業界の動向、今後の展望をお聞かせ下さい。

 

早坂 : 考えている事としては、新たな技術にチャレンジすることです。
 既存の技術だけではどんな技術も陳腐化します。機械にだって寿命はあるし、そこをいくら改良してもそれは先が決まっている。
 技術をバージョンアップして広げていかないとならないのです。しかし、一つの物だけを深く追求するだけでは難しい。
 そういう意味で現在3次元CADを取り込んだ製品の開発を行っています。
 我が社のパンフレットには「ヒューマンテックはふつうの機械を作ってはおりません。」と載せています。
 実用的な製品と高度な技術、ちょっと変わった視点からのものづくりを心がけ、常に新しいものを提供し続けていきたいと思います。

 

―本日はありがとうございました。

  これからもよりよい製品の開発を期待しております。

 (文責 請園 直之)