• 【東京・埼玉で税理士事務所をお探しの方へ。第一経理は中小企業の皆様に、身近でかけがえのないコンサルタントとして60年超の実績があります。】

第一経理ニュース

随想

映画の楽しみ(5)

スタビライザー株式会社 代表取締役 阿部 敏夫 

 

 練馬区にT・ジョイ大泉という映画館がある。東映東京撮影所の施設の一つである。いくつもの施設の中から好みの映画を選択できるシネコンだ。この映画館がいい。映画会社が関係するだけに俳優の写真や手形(約束手形などでなく)が展示してある。高倉健や吉永小百合のポートレートが眼を楽しませてくれる。

 そこで観た映画。
 「トランスフォーマー・バトルシップ」
 何とも荒唐無稽な映画である。それでも面白い。そこがいい。この手の映画が好きなのである。いわゆるB級というヤツだ。何しろ映像を追うだけである。破壊的な音響に身ぶるいをする。生理に訴える作品と言うべきか。
 ハワイ沖で行われた各国共同軍事演習。そこに宇宙から巨大物体があらわれ、突然金属質の牙をむく。
 ユニバーサル映画一〇〇周年記念作品。製作会社・ハフブロ、監督ピーター・バーグ、キャストにテイラーキッチュ、浅野忠信、リーアム・ニーソンをそろえるが当然俳優の演技力でみせる映画ではない。監督の役者としての出演がトム・クルーズ主演の「コラテラル」と知っても、どのシーンだったか記憶に自信がない。
 この軍事演習、かなり日本に華をもたせる。「みょうこう」の艦長・浅野忠信が若々しく思慮深く描かれている。まるでパールハーバーの件は忘れましたの雰囲気。米海軍の駆逐艦ジョン・ポール・ジョーンズの命運やいかにと話は展開する。
 それにしても、この音響の凄さを、どう文字に表現すればいいのだろう。生理を刺激して不安な気分にさせる。或いは品性を貶(おとし)めると言ってもよい。面白いのだが映画賞の対象にはならないナと思えてくる。それでもスクリーンから眼をそらすことは出来ない。ホラー映画と共通する興奮と言ったら当っているだろうか。

 地球上の技術力で防げそうもない宇宙からの外敵を最後の最後に弱点をみつけて撃退する映画は、これまで幾つもあった。それでも映画史に残る作品は殆ど無い。
 シガニー・ウィバーの「エイリアン」。作品としても主演女優の成長のキッカケになった作品として忘れがたい。彼女が硬質の魅力を余すところなく表現した作品である。それに較べれば作品論を展開する必要は全くない。その刺激的シーンを楽しめればそれでいい。
 さぞお金のかかったことだろう。今迄にない破壊的な音響や金属質の物体が回転しながら迫ってくる場面は身震いする程の恐怖感におそわれる。

 大泉の撮影所で所長をしておられた幸田清さんは映画ぐらい入場料の不公平なのは無いと言われる。安く撮った映画も非常に高額の費用を投じた映画も観客が観るときは同一料金だと。そう言えば随分まえに聴いたバレンボイム指揮のパリ管弦楽団は高かったナ。サントリーホールのせいもあったのだが。だからこそである。このような映画も観てあげなければ映画会社に悪いのだ(?)そんなことはない。
 日頃は日経や朝日新聞の映画評を気にするのだがキネマ旬報を読んでも星一つか二つの作品である。特に女性批評家が手きびしい。

             それでも面白いものは面白い。