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第一経理ニュース

我が社の原点

お客様のニーズとブランドとしての価値を追求して  

 

 

 

 

有限会社 フォピッシュ
代表取締役 千葉 雅江 氏

 

 今回は、鞄や靴・雑貨等を企画デザインし、オリジナル商品を販売している有限会社フォピッシュさんを紹介します。「ハニーサロン」というお店の名前で原宿・新宿・横浜で3店舗の直営店を展開しています。
 社長自身がデザインする商品や会社に対する思いを語っていただきました。

 

聞き手 池袋本店 鈴木 徹  

ブランド誕生のきっかけと会社設立

 

―創業のきっかけについて教えて下さい。

 

社長  開業の前に自分のブランドの立ち上げからお話し致します。サラリーマン時代に、ラフォーレさんが新聞で募集していた企画「新人デザイナーを育てる会」のデザイナーに応募したのがきっかけになります。大学もデザイン関係でなかったのでアパレル関係の友人も少なく、特に洋服のデザイナーさんの考えを知りたいと思いオーディションに参加しました。100人くらいはいた応募者の中で雑貨関係は私だけで、珍しかったのでしょうね。「君はおもしろい」と言われ即採用となりました。かなりラッキーでした。

 最初の会合はあの地下鉄サリン事件の日でして、それが最初の話題となりました。そこに参加していたメンバーは、「将来は自分のブランドを立ち上げるぞ」という志を持った方ばかりでしたが、正直私はそこまでの明確な意思をその頃は持っていなかったことを覚えています。会合が進んでいくと周りはブランドを立ち上げることになり、「君も何かいいブランド名はないのか」と言われ、そこで私は「フォピッシュ」と名前を付けました。これがこのブランド誕生のきっかけです。

 私が勤めていた会社はSPA(自社で企画デザインした商品を製造委託して販売する形態。製造小売りと呼ばれる。)を基本とした業態で当時は今ほどなかったのですが、このようなアパレルの商売のしくみを知っていたというのが有利になりましたね。いきなりブランドを立ち上げようという若者達よりも売上げは良くて、認められていくとラフォーレさんから「そろそろ、店を出さないか」といって戴きました。個人事業者として、保証金等の初期費用はゼロという、普通では考えられない恵まれた条件で1号店をオープンしたのが12年前のことです。

ショールームの様子

 

―会社設立。

 

社長  幸運にも同潤会アパートを借りて事務所として営業させて戴いていたのですが、表参道ヒルズを建てるから立ち退かないといけなくなりました。いよいよ自活する必要が出てきたのです。事務所を探すため不動産屋にいくと、「個人事業だから貸せない」とか「保証人を3人つけろ」とか言われるんですね。店も持って頑張っているのに、世間的には全く信用はないのだと。本当に悔しくて会社を作りました。

 今となっては、私は社長の器ではなかったと思うのですが、会社にしたから社長という立場があり、周りの皆の期待も大きくなり、お蔭様で社長として仕事をさせて戴いております。もう一つのきっかけは、帰宅する際に夜遅くにタクシーに乗ったら、そのタクシーが居眠り運転で事故を起こし、私はムチ打ち症になってしまいました。しかし個人事業者だと休業時に支給される手当がサラリーマンより少ないのです。

 

―女性社長として不利であると感じたことはありますか。

 

社長  アパレル業界では女性だからといって不利であるということはないですし、損をするようなこともないです。ただ女性と男性との違いを時折感じることはあります。いい物を作って売っていく姿勢には男女差はないと思いますが、ビルを建てたいとかいい車に乗りたいとか目標が明確で具体的な方も多いのかなと。私は「いい物を創りたい」という思いと、結果的にそれが評価され会社の利益になればいいと思います。

 

「良くないことは放置しない」風通しのいい職場作り

 

―商品の企画などについて教えて下さい。

 

社長  現在は直営店舗を持ち、卸売りもやり、自社のオリジナル商品を販売させて戴いております。店舗を持つことの最大の強みはお客様の反応を直接聞いて、それを次の商品のデザインに生かしていくことが出来ることです。いずれ時期が来ればこのデザインという仕事は後輩の世代に引継いでいくべきだと思っていますが、現状は私自身が商品のデザインに携わっており、かなりの型数をやっています。

 普通だと社長である私がデザインした商品に対して従業員が意見を言うことは中々出来ないと思います。けれども、やはり現場である店舗を持っている強みなんでしょう、新入社員やアルバイト社員であっても、「これはいまいちじゃないですか」とか「よくないです」とはっきり言ってきます。きちんと伝えることがその従業員自身の為であるし、会社の為になるし、またブランドの発展に繋がることであると先輩が後輩に入社時から教えています。言いづらいときは先輩に伝えてみるとか、良くないと思っていることを放置しないことが重要ですね。そういう面では風通しのいい職場であると思っております。

 また、これがSPAという業態のいいところでもあると思います。ただ、社員からたまにガツンと言われると、陰でこっそり落ち込むこともあるんですよ。心の中ではショックを受けつつも、「よし良く言ってくれた」と褒めるべきことなんですね。私自身は歳をとり年齢が上がっていく中、若い世代をターゲットにするというギャップを埋めるためには、これくらいの衝撃はいたしかたないことです。今後もこの社風は変えないで行きたいです。

 

―遂に2号店出店。

 

社長  9年間お店を構えていくと人材も育ってきます。従業員も年齢も上がり次の夢を見る、次のステップに上がる必要があると思っていました。「他のブランドは多店舗展開をする中、うちの会社はそういうオファーはないのですか」という声も上がり始めたこともあり、まず大阪と東京でイベントを行いました。「ラフォーレ以外では出店はしない」と思われていた状況が変わってきました。

 私の知人の駅ビルのリーシング担当が「最近ハニーサロンは元気がいいぞ」と言って戴いたりしたこともあります。また、リーシング担当は空いたテナントの隣のお店に、「隣にはどんなブランドに入って欲しい?」と尋ねたりするのですが、そのときにハニーサロンの名前が出ていたようです。このような良い口コミの影響とラフォーレでの実績、2号店出店という話題性が意外と大きく、最終的に新宿ルミネエストで一番いい売場に出店することが出来ました。

 

お客様の心に響く商品の提案

 

―本当のお客様のニーズとは。

 

社長  弊社も13年目を向かえ、私を含めた社員の年齢も上がってきている中でお客様のニーズとずれてしまうこともあります。ただお客様のニーズを全て聞くということが弊社にとっていいことだとは思っていません。ブランドの主張というものが無くなってしまいますし、最終的には「安くて出来るだけいいもの」に集約してしまうかと思うんです。

 しかし本当のニーズというのはそうではなくて、毎日ファストフードを食べていたら飽きてしまうし、たまには豪華な食事もしたいでしょう。私達が傾けるべきは、「いまこれがぐっと心に響くのか」とか、「これを持つことによって自分のテンションがあがるのか」というところに着眼して意見を取り入れることです。どんどん安くしていくという方向に行ってしまうとブランドとしての体が成り立たないですし、そこまで流されるというのは上に立つ立場の者の姿勢としては正しくないと思います。お客様のニーズとブランドとしての価値の追求とのバランスは非常に重要です。

 

―常に商品を提案していくという姿勢。

 

社長  基本的には弊社は商品を発信し提案していくところに存在価値を見出しているつもりです。大企業の後を追いかけたり、安く売るといった売り方をマネすることはしません。それをやってしまったらオリジナルブランドをやる意味はないですし、やりたくないからそこに共感して従業員も働いてくれていると思います。自分達の商品を発信し提案していくという喜びを失わずにいたいのです。

 従業員自身もこの活動が世間でどれくらい評価されているのかということ、自分のやっていることが「かっこいい」と評価されることが一つの幸せになっていることは間違いないです。だからこそ会社のモチベーションを上げていくという意味においてもフォピッシュというブランド力が非常に欠かせないものとなっています。大企業が入ってこれない分野のブランドだと思いますし、他社さんのことなど多少の流行はもちろん意識はしますけれども、この部分ではブレてはいけないと思います。

 

店舗展開に見合った組織体制作り

 

―失敗談があれば教えて下さい。

 

社長  ラフォーレさんで約10年間育てて戴いたという暖かい環境の中で、順調に売上げを伸ばし現在でも全国から出店のお声がけを戴いています。しかし、こういうときに会社の基盤がしっかりしていないことで全てに応えることが出来ない。小さい組織のときは風通しの良い社風でありこのままでいいと思っていたのですが、大きくなってきた時の想定が少し甘かった。

 勤続年数の長い社員が多いことに甘んじて、本社機能を強化したり、資本を充実させたり、社長である私がやるべき投資を積極的にしてこなかったことです。失敗というかどうかわかりませんがこれからの課題でもあります。1店舗のときは会社としての店舗運営は比較的順調でした。しかし、ルミネさんに2店舗出店し合計3店舗になってくると少し様子は変わってきたと感じます。新宿ルミネさんに出店している他の大手さんは、商品量・内装など全てにおいて日本一の体制で臨んでいて、そういう売場に私達も出店させて戴いています。このような店舗に対応した本社としてのバックアップ体制、組織作りなどが最初の頃は正直追いつくことが出来ていなかったと感じます。現在は全店舗を総合的に見る社員を本社に配置したりしてバックアップ体制を整えつつありますが、もう少し早く始めておけば良かったと後悔が残ります。

 先程は大企業とは同じことはしないと申し上げましたが、同じこともする必要もある、しなければならないということです。会社が成長するにつれて従業員も当然成長していますが、それをバックアップする体制を組織化しなければならなかった私が育っていなかった、ということでしょうか。お蔭様で今では新しい人材も入り新しい体制になっているので、ここから連動してうまく進んで行きたい、相応の努力もしていかないといけないと思っています。

 

―サラリーマン時代について。

 

社長 最初に靴屋に入社をしました。直前に5、6人くらいいたデザイナーが何かの理由で全員退職をされていたようで、私があるブランドを任されることになりました。入社したばかりの新人で下積みの経験も全くない状態でデザイナーにさせて戴いたんですね。成り行きとは言え非常にラッキーであったと思います。そのブランドを5年後に売上げ2億円から20億円に伸ばすことができました。

 ここでいい気になってしまったんですね、転職をします。約20年前の当時は靴と鞄の両方を企画デザイン出来る人材はいませんでした。靴と鞄の両方を売っている会社もなかったです。現在は洋服屋さんに行けば、靴も鞄も売っていますが当時は別々でした。そこで両方を企画デザインできる人間になればこれからずっと生きていけると思い、そこで鞄屋に入りたいと思ったのです。その時にその靴屋時代の上司が、現在はその会社の会長職にあるのですが、「ここで修行をしなさい」と就職先を世話してくれまして、鞄の企画会社に入ることができました。ここで5年間仕事をさせて戴き、初めにお話したラフォーレさんのデザイナー募集の話に繋がるのですが、何といいますか自然とチャンスが訪れて、それをいい形で掴むことができた、本当に幸運だったと思います。

 

身近によりそったブランドとして輝き続ける

 

―今後について。

 

社長  売り方としては、異業種とのコラボレーションを考えています。昔は何処か他のブランドとのコラボによる限定品は売れたのですが、今はファッション×ファッションというのが当たり前になり過ぎていてあまり心に響かない様です。あまり詳しくは言えないのですが着々と進めているところです。

 もう一つは震災後増えているギフト需要の取り込みです。少し前から話題に上がっている女子会の時の誕生日プレゼントだったり、フェイスブックからは誕生日のお知らせも来ますよね。会社の中でも以前よりも絆や交流を深めるためにプレゼントをしたり、出産祝いなどの需要も高まっているのを感じます。

 私達としては本来自分へのギフトとして作ったのですが、イニシャルポーチという当社のヒット商品があります。単価は2,000円~3,000円くらいでギフト用としてピッタリ合うのか、非常に伸びています。最近では結婚式の引き出物として購入される方もいるくらいです。こういうブライダルの分野も今後は伸ばして行きたいですね。

 ブランドとしては、お店とブランドの力をもっと高めていきたい。15周年、20周年を迎える時に「昔、こんなブランドあったよね」ではなくて、常に時代にマッチし憧れを抱かれながら身近によりそったブランドとして存在し輝いていくこと、これが将来に向けた私達皆の夢だからです。

 

―本日は長い間お話を聞かせて戴きまして有難うございました。

 

―取材を終えて。

 社長は、「自分は幸運」という言葉をよく使われていました。しかしその幸運を掴むための努力を必死に日々されていることを強く感じました。「これがチャンス」と思うことが出来たこと、その前向きな姿勢が幸運に繋がっていると感じました。

(文責 野口 洋岳)

スタッフの皆さんと

  「ハニーサロン」ホームページ http://honey-salon.com/index.html