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第一経理ニュース

新春鼎談


 

「消費税増税の新年をどう迎えるか」

 

 

 あけましておめでとうございます。
 おかげさまで、第一経理は60周年を迎えることができました。支えていただきました顧問先及び関係諸団体の皆様に心より感謝申し上げます。
 さて、今年は4月に消費税増税という経営にとっての大難関が待ち構えています。第一経理は全力で経営のバックアップをしてまいります。
 新年号にあたり3人の代表税理士が、経済情勢や消費税増税にどう対応するか鼎談をお送りいたします。

 

 

   齋藤  正広     税理士法人第一経理 代表社員 税理士 第一経理 代表
   平石  共子     税理士法人第一経理 代表社員 税理士
   長谷川 元彦     税理士法人第一経理 代表社員 税理士 埼玉事務所 所長

 

 

 

長谷川 明けましておめでとうございます。
 経済政策では、「アベノミクス」というインフレ政策が盛んに宣伝され、景気浮揚が少しあったかのような報道がされていました。輸出企業は円安の影響で、建設土木は業種によっては仕事が集中しているようですが、小売、サービス業では、売上減少が多くなっています(12月号てんがん鏡)。
 まず、現状の政策や経済情勢についてどう見ていますか。

 

 大企業は業績回復?下請は、円安の影響を受けている

 

齋藤 財務省が12月に発表した7~9月期の「法人企業統計」によると、全産業の売上は前年同期比で0・8%増加、経常利益も24・1%増でそのうち製造業は46・9%増、非製造業は14・5%増でした。円安によって製造業が回復し、内需拡大によって非製造業も拡大したかのように見えますね。
 製造業では、資本金10億円以上の大企業の売上げは前年比で1.6%の増加となっていますが、資本金1000万円から2000万円の中小企業では逆に売上げが1.8%のマイナスとなっています。大企業と中小企業の業績格差がますます大きくなっているのではないでしょうか。
 同じ統計で、大企業の原価率は前年同期比で若干低下がみられるのですが、中小企業の原価率は上昇しています。下請けに対して値引きをさせることで、大企業の利益率の上昇を実現した可能性が高いともいえると思います。下請け企業は、円安で原材料の輸入コストが増加しています。価格転嫁できずに利益率が減少しているのが中小下請け企業の実情ではないでしょうか。

 

 駆込み需要もあるが、個人消費は伸び悩み

 

 また、非製造業の売上げは伸びていますが、ここ1年で大きく売上げを伸ばしたのは、建設業、不動産業、労働者派遣業等の一部の業種であり、公共工事の恩恵を受けるものばかりです。不動産業については、消費税増税を前にした住宅の駆け込み需要も大きく影響しています。9~10月と新規着工件数が年率換算で100万戸を超えました、これは、消費税のための、駆け込み契約を表していますね。
 一方、個人消費との関連が深い小売、飲食サービス、宿泊、娯楽サービス、広告、教育、医療などは軒並み前年比マイナスになっています。現在の内需経済の回復が、公共事業に大きく依存していることがわかります。
 円安誘導による輸出産業への補助、大型の公共工事を中心とした現在の成長戦略は、中小企業や個人の生活に恩恵を与えるものとはなっていません。今年4月からの消費税増税によって、個人消費は落ち込み、転嫁できない中小企業の経営はますます厳しくなることが予想されます。

 

長谷川 なるほど、12月9日に発表された2013年7~9月期GDPは、年率1.1%と、速報値の1.9%を下方修正しました。どうも、個人消費、設備投資が思ったより不振で、企業の在庫が増えているということが、下方修正の原因と書かれていました。「インフレ」というほどの流れにまでは、至っていないようですね。
 消費の下支えとなる、雇用についてはどうでしょうか?

 

 中小企業が雇用の拡大を担っている

 

齋藤 国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、資本金10億以上の法人における給与所得者は2002年の849万人から2011年には751万人へと減少したのに対し、資本金2000万円未満の法人では840万人から1,027万人へと増加しています。厳しい経営環境の中でも中小企業が雇用の場として一段と重要な役割を果たしているといえます。
 何と言っても、個人消費が日本経済を支えています。その大元である、雇用が増加しないことには、景気回復はあり得ない。中小企業の役割が、ますます重要になってくるのだと思います。

 

長谷川 さて、景気の話は一旦おきまして、昨年は新国税通則法の実施、消費税8%への閣議決定がありました。税制については平石さんどうでしたか?

 

 税務調査は新たなテーマが

 

平石 昨年、税制に関しては大きく2つの問題がありました。一つは、税務調査の手続きに大きな変化があったこと、もう一つは消費税の税率アップについてです。これは一昨年8月に法律は通ってしまいましたが、いわゆる「経済条項」がついていたので、増税中止を求める運動に引き続き取り組みました。結果的には参議院選挙が終わった後、残念ながら10月1日に8%への引き上げを閣議決定した形になりました。
 税務調査については、原則として11項目の事前通知が電話で行われるようになったのですが、例外規定も設けられたためか、許せないことに、第一経理の顧問先に2件も無予告の調査がありました。税務署に法律の濫用をさせない取り組みが必要とつくづく思います。
 また、税務署内部では事務量が増加したので、結果的に税務調査が3割減ったということです。そうしたら、行政指導という名の下、納税者の方に直接税務署からお尋ねの文書が多く郵送されてきました。これが、最初は「お尋ね」なのですが、回答がないと「調査」に変わり、それでも回答がないと「実地の税務調査」に移るといった段取りになっています。事前通知の手続き規定ができたのに、事務が大変だからといきなり文書で送りつけてくるのは本末転倒です。
 国税通則法改正の時、「権利」は入れられないが、「手続き」を法律に明記した、と国税庁は盛んに宣伝していたのですが、半年でこんな有様です。税務行政をしっかり監視していかなければと思っています。

 

 消費税引き上げ反対の声は大きく

 

 消費税の増税については、本年4月から8%、来年10月から10%というものですから、今納税している消費税額が単純計算で8%になったら1・6倍、10%になったら2倍となります。消費税は、赤字でも納税額が出ますから、資金繰りが厳しいところでは逼迫することになります。昨年3月末から、増税中止を求める請願署名用紙を第一経理ニュースに同封して顧問先の皆様にお願いしたところ、2000人を超える署名が寄せられ、顧問先の皆様は、敏感に受け止められていることがわかりました。

 

 消費税は「転嫁」で利益が変わる

 

長谷川 消費税は転嫁が最大の問題点だと考えています。シミュレーションを見ていただきたいのですが、消費税分を完全に転嫁できれば、消費税引き上げ後も利益を確保することができます(ケース1)。ケース2は、税込取引ですべて行っている場合です。今でも消費税の納税分は自腹なのですが、8%になって、さらに支払う消費税分の利益が減ることになります。
 実際には、ケース3にように、売上は、転嫁できないが、仕入は大手メーカーになってしまうので、税別で転嫁されてしまうのではないかと思うのです。結果として、300万円の利益が226万円まで減少してしまう。これが、実際ではないでしょうか。引き上げ後の消費の落ち込みも中小企業の経営に大きな影響が出てくることが予想されます。

 

 消費税転嫁対策特別措置法

 

 政府は、転嫁をスムーズにおこなうために、消費税転嫁対策特別措置法(平成25年10月1日施行)という法律まで作って、何とか消費税の転嫁を軌道に乗せようとしています。5%への引き上げの時は、バブルの後で「便乗値上げを取り締まる」と言っていたのに、様変わりです。デフレの中での消費税の引き上げが、いかに困難なことかを表しています。
 消費税分の値引き要求は違法となっていますが、違法行為をした場合の罰則は、「勧告、公表」となっています。どこまで実効性があるのか、疑問ですが、使えるものは使うという立場で、見ていきたいと思っています。

 

長谷川 景気、消費税対策と今年も大変な年になることが予想されます。今年の抱負をお願いできますか。

 

 消費税反対の継続と納税者の権利確立へ

 

平石 消費税8%への増税については、引き続き実施されるまで反対の運動をしていきたいと思います。もちろん、8%増税への実務的な対応も必要ですが、消費税のような欠陥税制をこれ以上大きくさせてはならないと思うからです。昨年8月29日に生まれて初めて記者会見を経験しました。
 「消費税増税の中止を求める税理士のアピール」の呼びかけ人の一人となり、マスコミに発表したのですが、ネット配信され、NHKやサンデー毎日から取材を受けました。現在賛同者は238人なので賛同者をもっと増やして、国会に要請に出かけていきたいと思っています。
 もう一つは、地道な運動になりますが、納税者権利憲章の制定はますます必要になってくると痛感しています。税務調査の手続き規定ができたとしても、課税庁側が納税者を尊重し、納税者は誠実に行っているという立場に立たない限り、真の納税者の権利は確立されないと思うからです。専門家としてできることを実践していきたいと思っています。

 

 消費税転嫁できるかどうか企業価値が問われる

 

長谷川 消費税の引き上げへの対応が、今年の中小企業の経営を左右する一つの分岐点ではないかと考えています。すでに述べたように、「転嫁」と「売上確保」ができるかどうかです。
 うまい手は、なかなかないと思います。最終的には「価格決定権」を持っている商品を提供できるかにかかってくるのではないでしょうか。難しく、ある意味究極の課題だと思います。そのくらい、各会社の存在価値が試される、そんな年になるのではないでしょうか。
 お客様の支援と、自分自身の存在意義を考えながら、走っていければと思っています。

 

 中小企業に真にお役立ちできる第一経理へ

 

齋藤 日本は経済的には成熟社会となり、大量生産、大量消費の時代は終わりました。個性豊かな、そして人を大切にする中小企業こそがこれからの社会においてさらに重要な役割を果たしていくはずです。
 私たちはもっともっと研鑽し、中小企業のみなさまの経営に真にお役立ちできるサービスを提供してまいりたいと思っております。
 また、専門家として、中小企業にとってよりよい経営環境が実現できるよう社会に対してもメッセージを発していきます。本年も何卒、よろしくお願いいたします。

 

 

 この原稿を整理している最中に、「特定秘密保護法」の強行採決が行われた。「何が秘密かも秘密です」という、憲法違反の法律が成立してしまった。国税庁長官も秘密指定の担当大臣となっている。施行まで1年ある中、国民の知る権利、納税者の権利が侵害されないよう問題の追及をしていきたい。

(長谷川