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第一経理ニュース

我が社の原点

やっぱりマグロ。 ~お客様に旬を伝える~

 

株式会社 翔洋


代表取締役 布川  正光 (ふかわ まさみつ) 氏  [右] 
取締役 布川  竜如 (ふかわ たつゆき) 氏  [左]

 

今回の我が社の原点は、鮮魚店の 株式会社 翔洋、社長の布川正光様、息子さんである専務の布川竜如様に登場いただきました。現在、埼玉県、千葉県の「グリーンズ」「マルヤ」「ギガマート」といったスーパーに5店舗、テナントとして鮮魚コーナーを仕切っています。本日はそのスタートとなったスーパー「グリーンズ」でお話を伺いました。

 

 

埼玉事務所 池田 健一

 

魚屋との出会い

 

―まず、社長さんが魚屋さんを始められたいきさつをうかがいます。

 

社長 実家が植木屋で、魚屋さんの庭の植木をやらせてもらっていたんです。そこの魚屋はすごく売れ行きがよかったので、「働きに行け。」と、それがきっかけです。そういう時代ですよ。
そこは仕出しが随分多かったので、それを教わりながら、ある程度できるようになると、今度は刺身専門のところで習った方がいいということで、店を移りました。個人のスーパーなのですけど、刺身が強い店で、マグロの解かし方、下ろし方なども勉強しました。
その後、翔洋を立ち上げる前は、店舗開店の仕事をしていました。スーパーの鮮魚コーナーを30から40店舗くらい立ち上げました。レイアウトから立ち上げの一切をやっていました。

 

オーナーとの約束

 

グリーンズ鳩ヶ谷店

社長 ちょうど秤のメーカーの方にここのグリーンズさんを紹介されて、一カ月間様子を見ました。他の魚屋さんが入っていましたが、オーナーの方が入れ替えを考えているという話を聞きましたので、グリーンズさんに決めました。
こちらのオーナーは、青果など自家栽培していて、直売していることもあり、品物に対してとても厳しい。「安いものを売るのではなく、おいしいものを売ってください。」というのが約束です。

 

 

 

テナントの立場

 

社長 当然売上げは重視されます。スーパー側から見て、テナントを入れるということは、自社でやるより売上を見込んでいるからですし、こちらもそれがテナントとしての役目だと思います。しかし普通の魚屋との違いは、何といっても自社の看板だけでなくそのスーパーの看板も背負っているということです。
お客様からすれば、「翔洋」という会社名より「○○スーパーの魚屋さん」という感覚がほとんどなのです。商品にしても、価格にしても、接客態度にしても、その評価がスーパー全体への評価となり、その積み重ねが売上げとなって表れてくると思います。

 

レイアウトを考えての仕入

 

―お店の仕入れはどのようにやられていますか。

 

社長 仕入れはやはり朝早く起きて、市場に行って、品物を一回りして確認します。
そして、セリ場を見ます。今日は量が多いか、少ないか。量のないときには、値段が下がらないから、鮮度のいいものを早めに買ってしまいます。多いものは値段が下がってきますよね。そのような品をスポットで仕入れるようにします。
自分が定番ものを発注するときは、ショーケースのレイアウトを強くイメージします。ここに何を切って入れるかということですね。スポットは何にしようか。天気によっても、寒いとき、暖かいときで、売るものが変わってくるので、ケースの中に並べるものを頭に描いて発注します。

 

専務 その他定番のものはすべて各店長であるチーフがそれぞれ発注しています。

 

社長 仕入れはそのほうが安定していいんです。ただ、店に居ながらの発注だと、商品アイテムがだんだん減ってきてしまうので、そこを補充してやるような形をとります。ああこの魚がないな、と思うと店舗に入れます。店長の立場だと、どうしても売上の数字が気になり、ほしいものを削ったりするときがあるのです。

 

十人十色

 

切身、刺身に加工中

 

社長 刺身は切る人によって全く違います。昔の切り方は角を立てて切っていました。見た目がきれいだからで、角が立たないとうるさかったのです。逆に今の流行の切り方は、そぎ切りで寝せて、広げてある。同じグラム数でもボリューム感が全く違います。

うちの店もそぎ切りして広げてくださいというのですが、人のクセというのはなかなか直らない。

 

専務 私は、ボリュームがあるように並べて、若い人に買っていただきたいという気持ちです。
これからは自分達、若い世代がやっていかないといけないので、ボリュームがあるように見せて、若い世代にもっと食べてほしいなと思っています。店長であるチーフたちは、みんな若いので、その都度、気持ちをみんなに伝えています。

 

社長 十人十色というように一人ひとりに個性があり、その集まる人数が多くなればなるほど、一体化していくのは、難しいことだと思います。
人間の性格や感情に「正解」というものはないので、一概に否定もできませんし、ただ協調性をもてと言っても、それに対しての考え方も思いも違います。技術に関しても、うちの会社に入る前に長年身に付けたものがあり、それも活かし、尊重しながら、それでもうちの会社としてのこだわり、やり方、カラーも取り入れて貰わなければなりません。
いずれにしても、自分が各店舗で一緒に仕事をしながら、やって見せて教えていき、そしてまずは店舗ごとに立てた目標に向けて、一丸となってやっていってくれるのが一番だと思ってます。

 

チーフの考え方もいろいろ

 

―店舗を任されているチーフも、考え方がいろいろなわけですね。

 

専務 売り場というのは見栄えが重要なのです。たとえばキンメの開きなどは、知っている人でないとなかなか買っていただけないのです。アジの開きとキンメの開きが並んでいたら、アジの開きを買っていくお客さんが圧倒的に多いです。
しかしうちは魚屋として、珍しいものも置きたいわけです。例えばキンメの開きとか。でもキンメの開きが売れないからと、売上げの数字を優先で、置くのを止めてしまう店長もいるわけです。
そうではなくキンメの開きが置いてあることによって、見栄えが赤いから違った雰囲気を出したり、特別な意味もあるはずです。この魚屋は珍しいものが置いてあるぞと。そういうことを店長たちに、理解してもらいたいと考えています。

 

社長 やっぱりロスにつながりますから責任者としては怖いんです。

 

専務 しかし同じモノが同じ列に、二個も三個も並ぶということになります。

 

社長 そうすると、お客さんは選べなくなっちゃう。常々言っていることなのですがね。アジも二種類あるとして、高いアジのほうが売れて、安いアジは売れないから、止めてしまう。だけど安いものがあるから高いものが売れるのです。安売りの時は高いものがあるから、安いものが売れるのです。それを無くしちゃだめだよと言うのです。無駄だと思うなということですね。

 

専務 そのスペースに違うものを買って、売上につなげようとするのですけど、そこがなかなかうまくいかない店舗もありました。

 

安心安全が第一

 

―生ものを扱っているのですから、品質管理は気を使いますね。

 

社長 これはどの店舗においても当然のことですが、第一に安心安全です。これを徹底するため、生魚の場合、仕入れた魚の鮮度チェックから始まり、切身や刺身に加工していくのですが、ウロコや小骨等が残ったりしていないか、細心の注意を払っています。
商品化した後でも、水を使って加工しているので、パックの中に水が出ていないか、その水を吸い取る吸水紙が汚れていないか、スポットライトで色が変色していないか等々、チェックを怠らないようにしています。

 

お客様とのやりとり

 

―お店ではお客様とのやり取りに楽しいこと、気を使うこといろいろあると思いますが。

 

専務 常連のお客さんが多いので、「今日はこれが旬ですよ」とか、「これが新しく入りましたよ」という声掛けを心掛けています。
タイムサービスの時間帯や、値引きの時間帯は、なるべく値引きシールを貼らないで、お客さんと話し合いながらまけています。商品にラベルを貼って値引きするというのは最後だけです。「これ今日おいしいよ、800円だけど600円でいいよ。」という感じですね。

 

社長 言葉遣いや表情で、お客様の気持ちも変わると思います。お客様の購買意欲が高くなるように、売り場に出た時は自分の作業だけに集中せず、お客様にも目を配り、要望されたことには出来る限り応え、気持ちよく買い物をしてもらえるよう、接客の向上に努めています。
また、商品の鮮度感はもちろんのこと、売り場の清潔感、適正な表示と価格、アレルギー表示や販売期限の間違いがないように日々確認の作業をしています。

マルヤ新木店

 

専務 お客さんから教えてもらうということもあります。産地の地元のお客さんから、「うちの地元ではこういう食べ方をする」とか。変わった食べ方をお客さんに教えていただくと、それを違うお客さんに教えたりします。

 

社長 一番は、やはり「美味しかった。」と言っていただくことです。その日一番のおすすめを買っていただき、後日「美味しかった。」と喜んでもらえる。そのようなやり取りの繰り返しの中で、お客様に自分の名前を覚えていただくと、接客が更に楽しくなっていくものです。

 

旬を盛り込む

 

―お客様に旬を伝えるタイミングは難しいですね。

 

社長 そうですね。魚にはその魚の一番美味しい旬があり、その時に、いかにお客様に食べていただくか、そのためにはどのように商品化するのが良いか、どんな演出にするか日々の課題です。
最初のうちは高いので、お刺身で出します。時期のものは刺身で置いて、丸魚で置いて、そういうコーナーを作ります。カツオだったらカツオのサクを出して、刺身を出して、大きいケースのあるところだと、スポットコーナーみたいなものも作ります。
サンマ漁が始まると小型船がいつ出て、いつ戻ってくるなど情報をもらいます。そのあと大型船がいつ動き出すか、など市場で教えてくれるのです。

 

やっぱりマグロ

 

―景気回復が不安定な中、決意を教えていただけますか。

 

社長 やっぱりマグロですね。一言で「売り」は、と聞かれると、マグロなんです。
アイテムを増やして、お客さんがいろいろ選べるような刺身を出せるようにしたい、という気持ちも強いのですが、そこからさらに特化したマグロの専門で推していきたいです。
マグロの良いものを、よりいっそうおいしく見せて、出していきたいです。

 

専務 確かにマグロの売り方というのに力を入れていますね。マグロを豊富に取り揃えています。
赤いものはとにかく映えますよね。売り場を見た時に一番目を引きますね。量も出ており、それを象徴しているのがマグロなのかなと思います。
私は魚屋に入ってから、時期によって、メインがあるということに気付きました。今後それをどのようにお客さんに伝えるかが、自分達の役目だと思うようになりました。食べ方のアイデアとか、魚そのものを、もっともっとアピールしていきたい。そういうことを一生懸命これからやっていきたいと思っています。

 

―本日はありがとうございました。

(池田 健一)