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第一経理ニュース

我が社の原点

絵本から広げる、世界の文化

 

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株式会社 絵本の家

代表取締役 小松崎 敬子 (こまつざき けいこ) 氏

 

 

 豊島区目白の学習院大学に隣接した場所にある、青を基調としたブック&カフェ「Ehon House」。都内で随一の品揃えを誇る、洋書の絵本専門店です。このお店を営む⑭絵本の家は今年で創立30周年、洋書卸売業を始まりに、自社商品企画や英語教育等、様々な事業を展開しています。
 今回は小松崎社長に海外の絵本に関わるお仕事の魅力とご苦労を伺いました。

 

聞き手・文 : 池袋事務所 岩崎 倫子(つねこ) 

 

 洋書との出会い

 

―どのようなきっかけで、絵本に関わる仕事を始められたのですか。

 

 私が社会人になって勤めたのが、児童書や子供向け百科事典の出版・販売会社でした。そこに新たに海外事業部ができて、海外絵本のセット販売という商品企画に参加することとなったのがきっかけです。
 その当時はまだ、海外の絵本は丸善さんと銀座のイエナ書店さんに少し取扱いがあるくらいで、今のように多くの書店に置いてあるわけではなく、一般の消費者の方が日本で海外の絵本を手に入れるのは簡単なことではありませんでした。
 私たちの企画したセット商品も、当時4~5万円と高額なもので、初めは図書館等に販売することを想定していました。それが意外に個人で購入される方も多く、予想を大きく超えて5000セットくらい売れたのです。
 10冊セットほどの原書の絵本が5000セットも売れるというのは、とても考えられないことでした。バブルの前だったから、みんな知識欲もあったし、色々な新しいものが欲しいと思っていた時代だったのだろうと思います。

 

―もともと外国語には馴染みがあったのですか?

 

 私自身は外国語がしゃべれないので、海外の出版社との交渉時には今も苦労しています(笑)。英語が得意なスタッフがいるので、翻訳などはその方たちにやってもらっています。
 扱う商品に関して言えば、原書の書籍ということにこだわっていたので、言語は英語だけには限りません。たとえば『長靴下のピッピ』の原書であればスウェーデン語ですし、ほかにもドイツ語やアラビア語の絵本となると、やっぱり和訳のついた解説が必要でしょう。
 だから作家の紹介、あらすじ、原文の翻訳等、しっかりした解説書を自分たちで制作して付けたという事が多くの方に受け入れられた要素だと思います。制作には苦労もありましたが、私はそのようにして多くの絵本や作家に出会ったのです。

 

 

◎ 独立、経理から社長へ

 

―今の会社を設立した経緯について教えてください。  

 

p2-3 その前の会社に勤めていた先輩数名が独立して、昭和59年7月に絵本の家を設立しました。そこに私も引っ張られて、最初は財務経理の仕事をすることになりました。
 それが3、4年経って当初の設立メンバーがそれぞれ別の業界に行くことになり、会社の状況をわかっている私が代表を引き継ぐことになりました。
 その頃は私もちょうど子供を産んだばかりでしたし、会社もまだ売上が安定せず苦労したのですが、絵本好きで情熱のあるスタッフの支えがあり、徐々に軌道に乗せていくことができました。その頃からこれまで、全員女性で運営してきているんです。

 

 

 市場の変化が訪れて…

 

―設立当初から卸売業と小売業の両方を営んでいらっしゃったのですか?

 

 いいえ、設立当初は輸入卸売業のみでした。当時は医療・法律等の専門書は、それぞれ分野ごとに専門の洋書卸業者というものがありました。私たちもそれと同様に、海外の絵本の専門業者として紀伊國屋さんや丸善さんなどの大型書店を中心に卸していました。
 しかし今から15年ほど前、市場に変化がありました。ネット通販の登場によって、個人であっても海外の書籍を簡単に買うことができるようになったのです。価格競争を強いられることとなった小売の書店は、卸業者を通さず直輸入するように変化していきました。
 この流れは洋書卸業界にとっては大打撃でした。その頃に事業をやめてしまった同業者がいくつもあります。逆に言えば絵本の家が残っているのが不思議なくらいですよ。同じことだけをやっていたら、きっと残れなかったと思います。

 

 

 突破口は、自社商品と専門力

 

―それまでの事業の市場自体が狭まる中での突破口は、何だったのでしょうか。

 

 それは自社オリジナルグッズの企画制作販売です。絵本のキャラクターのライセンスを取り、ポストカードやシール、イラストの入った子供用のチェアなども作りました。それから解説書や音読CDにもかなり力を入れました。原書だけで販売しているところとの差別化が必要だったのです。

 

―価格競争ではなく、付加価値で対抗するということですね。

 

 そうですね。そうなるとうちの本当の強みは選書力だと思っています。お客様のニーズを汲み取って、世界中にたくさんある本の中から希望にぴったり合う本をお勧めできることが一番の付加価値なんです。
 私たちも、遠方のお客様のためにネット販売を始めました。ですが、やはりお客様と直にやり取りできないネット販売においては、その強みを発揮することの難しさを痛感しています。
 ただ、最近はネットだけで買い物を済ませてしまうのは寂しいと考えて、応援してくださる方も増えているのです。そういった方達の思いに応えるために、私たちは「足を運びたくなるお店」であるよう努力し続けなければならないと思います。
 そのために、満足してもらえる品揃えがあることや、商品知識や説明ができるといったことを磨いて、洋書絵本のスペシャリストであり続けたいと思っています。

 

 

 絵本のミュージアムのように

 

―本当にいろいろな国の絵本を揃えていらっしゃるのですね。

 

 今お店に出している絵本が4000冊ほどあります。英語以外にもドイツ語、イタリア語、フランス語、中国語、韓国語など、30ヶ国語ぐらい取り揃えています。
 本は作家や出版社ごとに並べるのではなく、「グリム童話」「人物伝」「乗り物」「動物」などジャンルごとに陳列しています。どんな本を選んだら良いかわからない方でも安心して絵本を選んでいただけるようにと検討を重ねた結果、このディスプレイになりました。カフェも併設しているので、店内の本を手に取ってお茶を飲みながらじっくり選んでいただくことができます。
 本を揃えるのは結構大変です。各国の出版社と交渉が必要ですし、輸入のための費用も手間もかかります。タイやベトナムだと出版社とのやり取りが難しいので、地元の書店に行って直接買ってくることもあります。それだと継続取引ができないので非常に面倒なんです。でも、他の人が揃えられない物を私たちが幅広く提供できるからこそ意味があるのだと思います。

 

―お店をオープンしたきっかけを教えてください。

 

 もともとはショールームとして商品を見てもらうため、店舗を設けることにしました。最初にオープンしたのは昭和63年で、今の店舗に移ったのは平成16年です。
 都内に児童書の専門店はいくつかありますが、海外の絵本をこれだけ取り揃えているところは多くありません。ですので、海外の絵本を手に入れたいと考えている方は、手掛かりとしてこのお店に足を運んでくださるのです。
 最近、新たに通信教育の会社と数万冊単位の取引を開始することができたのも、絵本の家の店舗をその会社の担当の方が見に来て下さったことがきっかけです。きっとこれだけのお店と書籍を持てるからこそ信頼が得られているというところもあるのでしょう。
 うちのスタッフにとっても、絵本を倉庫で見るだけではなくて、お客様の反応を直に感じることが出来るので、とても勉強になっていると思います。

 

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 絵本は文化そのもの

 

―洋書販売を通じてのメッセージを教えてください。

 

 やはり私は本というものの素晴らしさを伝えていきたいんです。
 以前、政府の仕事の一環でASEAN会議に参加し、各国の出版社や作家の方とお話しする機会がありました。独自の文化のないところでは、絵本ができないというのです。例えばシンガポールだと、公用語は英語ですし、文化もイギリスから取り入れているものが多いため、絵本の題材となるような独自の文化というのは薄れてしまう。
 その話を聞いて、一冊の本をつくるためには文化的な背景が必要だということを知り、改めて日本は素晴らしいと再認識しました。日本は大正時代の絵本にもしっかりしていて素敵なものがあるんですが、それは独自の文化が根付いているからこそなのです。
 絵本であっても、その扱うテーマを通して歴史的背景や生活習慣が、絵柄や色遣いからその国の文化や雰囲気が伝わったりするので、非常に面白いですよ。
 日本も海外も含めて各国の色々な文化を、絵本を通して皆さんにお見せしたいと思っているんです。

 

 

 30年間を振り返って

 

―これまでの30年を振り返って、どのような思いですか。

 

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30周年パーティーの様子

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30周年パーティーの様子

 今年で30周年を迎え、7月には記念祝賀会を開くことができました。
 スタッフが中心となって、絵本の家のこれまでの取り組みや、私たちが作ってきた商品を振り返りながらご紹介をさせていただきました。お取引先や出版社の皆様、スタッフOGや翻訳者の皆さん、多くの方が参加して下さって、ここまで素晴らしいご縁があったことを感じています。
 最初はとにかくいい絵本を広めたいという気持ちでスタートしましたが、徐々に商品群を増やし、相手先も変えてきました。あくまでも主たる柱は絵本ですが、絵本から派生してくるグッズやノベルティの開発など、いろいろなことを並行してやってきたからこそ、30周年を迎えることができたと思います。これからも時代の要請の中で変化しつつ、軸足はしっかり持つということを心がけていきたいと思います。

 

 

◎ 今後の展望

 

―今新たに取り組んでいることについて教えてください。

 

 かつては洋書というとおしゃれなイメージで、どちらかというと大人が買うことが多かったのですが、最近は「子供の英語の勉強になるから」といって買われる方が増えました。お客様のニーズに応えるべく、絵本の家でも英語教材に力を入れています。
 最近力を入れているのは「はじめての英語セット」という子供向け教材です。頻出単語が盛り込まれたテキストと、絵や単語に触れると音声が流れるペンのセットです。ネイティブの正しい発音とメロディーにのせた音声が収録されているので耳に残りやすく、子供達が楽しく英語を学べるようになっています。まずこのセットで英語を自分で読める力を身につけて、更にステップアップして絵本や物語に挑戦していただくという流れです。
 絵本であれば絵を見ながらなんとなく全体を読み通すことが出来るというところが良いのです。心に沁みるお話を読みながら、習熟度に応じた英語のレベルアップができますので、読み進めることで自信をつけることが出来ます。
 毎月お店でワークショップも開いています。絵本の家のスタッフやネイティブの方が講師となってお子様向けの絵本の読み聞かせ会をしたり、絵本好きな大人の方に向けたワークショップもあります。池袋のジュンク堂さんや代官山の蔦屋書店さんなど、お取引先の書店から要請があって、読み聞かせの先生を派遣することも増えてきました。こういう取り組みにももっと力を入れたいと思っています。
 何ができるか、いつも色々なアイデアを考えているんです。

 

―本日は貴重なお話ありがとうございました。

 

 

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住所:東京都豊島区目白1-7-14-1F

TEL:03-3985-3363

HP:http://www.ehon-house.co.jp/

Facebook:https://www.facebook.com/EhonHouse