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第一経理ニュース

謹賀新年 2015年新春インタビュー

「中小企業が主役となる日本経済に」社員と共に成長する企業つくりをめざして

 

 

p2-カット 新年、明けましておめでとうございます。

 2014年は、4月に消費税の引上げ、その影響での不況感の中、年末には、総選挙とあわただしい年でした。
 2015年も引き続き、激動の年になると思われます。中小企業をめぐる情勢や、経営者として何をすべきかというテーマで、全国の中小企業家を組織している、中小企業家同友会全国協議会副会長国吉氏第一経理代表齋藤がお話を伺いました。

 

  

 

梅ピンク昨年は消費税増税・反動減に景気が大きく影響を受けた

 

齋藤 明けましておめでとうございます。新春対談と言うことで、最初に、昨年2014年がどのような年だったのか振り返って見たいと思います。
 まずは4月の消費税の5%から8%への増税ということになります。想定はしていたのですが、駆け込み需要のあとの反動が思った以上に大きかった。3%から5%へ増税されたときよりも、深刻な影響がでていると感じています。特に零細、中小企業は非常に苦戦しているというのが実態ではないかなと思います。全国の中小企業の状況についてお話しをいただきたいのですが。

 

p2-国吉

中小企業家同友会全国協議会      副会長 国吉昌晴 氏

国吉 同友会は、DORという景況調査を3ヵ月毎にやっております。そこでも2013年の暮れに、あらゆる業種に回復基調が見え天井感がありました。駆け込み需要が相当あったわけです。
 問題は2014年4月以降どうなのかということです。この反動減、これは予想以上に厳しいデータとして出ています。とりわけ流通・商業の落ち込みは凄まじいものです。反動減から回復へ一定の期待があったのですが、7~9月も誠にしんどい状態が現れています。これは同友会の調査に限らず、中小企業庁等の調査でも同じであります。

 ※DOR=同友会景況調査報告
      中同協企業環境研修センターが会員企業を対象に
      年4回調査を行い、会の内外に発表している

 

 

梅濃ピンクスタグレーションの現象も出てきている

 

国吉 これは、アベノミクスのとりわけ三番目の「成長戦略」、実態がどうなのかということが、きわめて明確に現れたのではないかと。物価高と不況が共存していく、ひさびさにスタグフレーションの言葉が出てきたわけです。為替が円安に大きく振れ、輸出型産業が好景気で一部の大企業、証券業界も大儲けというわけです。大多数の中小企業は、輸入資材や、燃料費の高騰で経費が増大し、自分の生活の基盤までも、厳しくなっているのが2014年の状況です。

 

p2-齋藤

聞き手 第一経理グループ      代表 齋藤正広

齋藤 私どものお客様を見ていても、倒産はそれほど増えていないのですが、廃業がものすごく多いと実感しているところです。
 円安にして輸出が増えて、大企業を中心に経済がよくなって、それが中小企業にも回っていく、トリクルダウンによって中小企業にも恩恵が行くというような事はないということが証明されたのではないかと感じます。
 そのような中で、昨年の六月、政府税制調査会は「法人税改革の提言」を出しました。外形標準課税を中小企業にも適用しようという内容のものです。私たちも驚いたのですが、これについて同友会がどのような動きをされてきたのかということについて、お伺いしたいのですが?

 

 

 

梅ピンク外形標準課税に同友会は反対を続けている

 

国吉 2002年、外形標準課税が導入されたときも、私どもは、様々な中小企業団体と一緒に反対運動を展開しました。国会議員全員を訪問して、申し入れを行いました。その結果として、資本金一億円以下の企業には適用しないという条項がついたわけです。
 中同協から毎年政府に出す要望書には、外形標準課税の適用拡大は絶対におこなわない事を入れています。今回は、その動きをいち早く知っていた日本商工会議所をはじめ、中小企業四団体は5月段階で反対の声明を出しておりました。中同協も7月の全国総会で反対の決議を行いました。
 外形標準課税は、少し専門的な用語だと思います。税理士の先生に講師になっていただいて、自社の場合どうなるのかという、シミュレーションなどを、提起しました。中小企業は人件費比率が高いので、打撃が大きいということが理解されだして運動が進んできました。それぞれの同友会が各県選出の国会議員に反対の申し入れを行い、27の同友会が、反対署名活動に取り組み30万筆を超える署名が集約されています。

 

 

梅濃ピンク今年は見送られたが、息の長い運動が必要

 

国吉 今のところ2015年度の中小企業への適用は見送ると報道されています。しかし、拡大しないとは言っていないわけです。
 いつまでも手つかずのままでは、済まないのではないかと思っています。商工会議所さんとも、相当息の長い運動にしないといけないと懇談をしているところです。毎年6月を中小企業憲章と振興条例の強化月間にしていますが、これを次の目途として続けていこうと考えています。
 外形標準課税について、中小企業経営者はもちろんですけれども、一般の市民のみなさんに、「みなさんの給与にかかる税金ですよ」ということを訴えていかなくてはならないと思っております。各労働団体にも申し入れしながら進めていく、この手は緩めてはならないと考えて、行動しているところです。

 

 

梅ピンク中小企業に対する国の見方を変えさせることが必要

 

齋藤 第一経理でも、顧問先に呼びかけ、1700筆の署名をいただきました。政府税調の議論の中で、外形標準課税の適用拡大によって、赤字中小企業は淘汰される、そのほうがいいのだという発言が堂々とされています。それでは大企業が中心の世の中になってしまう。韓国のように中小企業がなくなって、大企業であるサムスンが風邪をひけば韓国経済も悲鳴を上げるという状態になってしまうのではないでしょうか。
 そうなってしまうと、多様性がなく変化に弱い薄っぺらな経済になりますし、地域を支えている産業というものがなくなってしまって、日本経済を破壊へと導いてしまうのではないかという気がいたします。
 政府税調の委員が、中小企業は利益をごまかしているみたいな言い方、発想の人たちによって占められてしまっている。そういう人たちによって議論が進められていることが非常に大きな問題だと感じています。

 

国吉 日本商工会議所から政府税調に入っている方の話を聞きましたが、政府税調のおおかたの委員の方の発想は、中小企業をこんな風にしか見てないのかと愕然とする内容ですね。主体である我々が、総合的に中小企業への正しい認識を高めることをやっていかないといけないなと思いました。

 

 

梅ピンク衆院経済産業委員会に参考人として参加

 

齋藤 小規模企業振興基本法が昨年採択されました。国吉さんも参考人として国会審議に参加されたときいていますが。

 

国吉 中小企業憲章が、2010年6月に閣議決定されました。しかし、20年間に百万を超える事業者が消えて行っている。こんなのはOECD諸国の中では日本だけです。「地方創生」といいますが、危機的状態になっていっているのは、地域を支えるこうしたアメーバー的に動く、そういう生命体が地域からなくなってきているからだと思うのです。ようやくそこに光を当てていくということが進み、昨年6月に小規模企業振興基本法が国会で全会一致で採択されました。
 私も衆議院の経済産業委員会に参考人として呼ばれました。国・自治体挙げての支援と、一般市民含めて小規模企業のもっている評価、価値を見直していく、ことが大事ではないかと。その一つの大事な軸として各自治体で中小企業振興基本条例を制定する運動をわれわれはやっていると申し上げました。
 こういう政策の流れに対して、外形標準課税適用拡大は真逆の動きですよね。それはまさにアベノミクスの成長戦略の中身として、まことに矛盾した形として現れてきている。ここに大きな問題があると思います。

 

 

梅ピンク何のための解散総選挙か

 

齋藤 景気がまったく良くなっていない中で、年末に解散総選挙がありましたが、解散、総選挙についていかがですか。

 

国吉 暮れに急に解散ということになりまして700億円からの国税が使われる、かつ、その理由として消費税10%引き上げを先送りすることに信を問うといっているようですが、消費税増税の景気判断条項は、そもそも法律で決めていることです。そのことによって国民に信を問う必要はなんらないわけです。マスコミも「大義なき解散」という表現を使っていますが、これはそのとおりだと思います。
 アベノミクス効果が全国に及んでいない、という不満の高まりが徐々に政権の支持率の低下ということで現れてきている。野党の選挙態勢が整わないうちに打って出るという、党利党略解散だといえると思います。

 

齋藤 私からすると安倍政権は暴走に近いと、今まで培ってきた中小企業を大事にしようという政策を一気に台無しにしたいんじゃないかなという印象を持っています。
 では次に2015年はどういう年になるのか。総選挙の結果をどう見ていますか。

 

 

梅ピンク国政への関心が低くなったことが心配

 

国吉 12月14日、投開票された衆院選は、自民は横ばいでしたが、自公あわせて326議席となり、3分の2維持となりました。野党側は、民主11増、共産倍増の結果ではありましたが、与野党の力関係は変わっていません。大変気になることは、投票率が戦後最低であったことです。
 アベノミクスの評価を含め、充分な議論がなされないまま選挙戦に入り、国民の国政への関心が低まったままであることが、将来へ禍根を残すことになるのではないかと心配です。中小企業やそこで働く人たちはもちろんのこと、国民生活の安定と向上につながる施策の展開に注目し、必要な発言はどんどんしていくべきでしょう。
 国の安全保障に関わる集団的自衛権行使問題、特定秘密保護法や沖縄基地問題、さらには原発・エネルギーのあり方など、今まで以上に関心を高めていく必要があると思います。

 

 

梅ピンク同友会は経営者に向かい合うことで会員が増えている

 

齋藤 さて、今年も厳しい状況が想定されますが、中小企業が発展していくために、同友会が掲げている人を生かす経営、経営者の役割という点からお話しいただけますか。

 

国吉 経営者団体、中小企業団体は組織人員を大幅に減らしているところが圧倒的に多いのですが、同友会は6年間会勢を増やし続けています。これは外部からは、びっくりすることのようです。同友会は、自社の経営をいかに強靭な体質にするか、景気や経営環境が激変しても耐えられる企業にしていくことをめざしています。そのことが周りの中小企業家のみなさんから評価されてきているのではないかと思います。

 

齋藤 私は昨年、東京中小企業家同友会で行っている新入社員研修合宿に参加しました。若者は素直で自分の将来のことをしっかり考えていると感じました。経営者も君達に期待しているし、一緒に成長していこう、という姿勢をもって接したら、ものすごく力を発揮してくれるだろうと感じました。私たちも多くのことを同友会から学ばせていただいております。

 

 

梅ピンク経営者も社員も共に成長する

 

国吉 第一経理さんに期待することですが、どこに着眼点をもったら企業が伸びるか、もっと具体的な、われわれがやれるようなヒントを与えていただきたい。経営者も社員も人ですから、人がどのように成長し、どのように変わっていくのかを支援してほしい。
 東大名誉教授で教育学者の大田堯(たかし)先生から学んだことですが、教育=education(イコール)のeducateは引き出すという意味で、その人の内在している力をどう引き出すかが教育だといわれました。社員の持っている内在する力を我が社の経営理念、我が社が目指す方向性を共に学び、実践する中で、まさにエデュケートするという環境づくりを、どう我が社としてやっていくのか、そういう発想にならないといけない。社長の鶴の一声でやるぞという場面も企業の場合必要なわけですが、そのときに(全社で)そうだ!と一致してやれるのは、やはり普段から一人ひとりの違いを認め合い、お互いに関わりあって、いいところも悪いところも含めて社長の人間性に社員も理解を示し、関わりあうなかで、お互いに育っていく共(・)育力をつけていくことが大切です。

 

 

梅ピンク社員、現場、一人一人の声を聞いて

 

国吉 社員さんの現場の声をよく聞く、現場での社員さんの思いが実はものすごく大事で、それをどう経営に反映させていくのか、その仕組みが必要ですね。社員一人ひとりが自主的、自発的に現場で創意工夫をこらしつつ、改善改良する考えを上に反映させていく、そういう組織なら力がついて、そう簡単にぐらついたりしないと思うのです。

 

齋藤 今年2015年も、激動の年ですね。人間の力を信じて社員といっしょに本音を語りながら、私たち経営者が自らを変革しながら経営を進めていくことを確認して、まとめとさせていただきたいと思います。
 本日は、お忙しい中、ありがとうございました。