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第一経理ニュース

我が社の原点

アクアリウムで世界平和を

 

p2-1 株式会社 王子工芸 
専務取締役 渡邊 正勝 氏

 

 埼玉県草加市に本店ビルを構える株式会社王子工芸。アクアリウムの観賞魚や観賞魚用品の卸、小売を営んでおり幅広く店舗を展開していらっしゃいます。今回は観賞魚の魅力などお話を伺ってきました。

 

聞き手 : 池袋本店 渡部貴広

 

―まず、最初に会社設立の経緯、専務が事業を始められたきっかけを教えてください。

 

 もともとは社長が50年以上前、個人的な趣味で金魚や熱帯魚を飼っていたのが始まりです。家中金魚だらけになって、ご近所で愛情を持って育てていると評判になり、金魚を分けて欲しいという話から、始めは個人事業で水槽や飼育用の器具の販売を始めるようになりました。だんだん規模も大きくなってきた為、法人を設立したところ、社長が病気で倒れてしまったので急遽、私が経営者に就任しました。それまで私は「ビストロマーボ」というフランス料理の店舗を2店舗、経営していましたが、売上的にも王子工芸の方が大きかったですし、何よりアクアリウムというものにすばらしく魅力を感じまして、王子工芸に移り仕事を始めました。

 

―現在の業務内容を教えてください。

 

 当初は観賞魚用の水槽やポンプなどの用品の卸をしていましたが、現在は金魚や熱帯魚などの生体の卸、また小売用の店舗も12店舗運営しています。始めは4人で始めた事業も現在は50人以上の従業員を抱えるまでになりました。
 用品のみならず、生体の販売を始めたきっかけは、観賞魚を飼ったことのない一般の方の為に、しっかり飼える環境を整えたいとの思いで、今までの業界になかった方法で強い生体をお客様に届けたいと考えました。これまでのアクアリウム業界はひ弱な生体を売り、お客様先ですぐ死んでしまい、また買いに来てもらうという形で、目先の利益だけを考えた売り方しかしてきませんでした。魚が弱ければ、安く売らざるを得なくなるし、きちんとした飼育方法や飼育セットを買っても長く楽しむことが出来ません。そのやり方では、初めてアクアリウムに触れる方は、すぐ飼育を諦めてしまい、また飼おうと思ってもらえません。結果として、観賞魚業界の市場規模は法人設立時の22年前の1,400億円をピークに、現在はその3分の1程度にまで縮小してしまいました。
 こんな業界を根っこから変えていきたい、という思いで、弊社は「飼育しやすい用品、強い生体、きちんとした飼育方法」の三位一体でより親しみやすい文化として、アクアリウムを広めていきたいと考えています。

 

―その中で御社のとっている取り組み、強みはありますか。

 

 基本的には前に述べた「三位一体」に対してそれぞれ策を講じています。

《用品》p2-ASPセット小
 まず、「飼いやすい用品」については、自社ブランドである「アクアシステム」を設立しASP方式という新たなシステムを開発しました。このASP方式は、弊社が独自に開発したソイル(水槽の下に敷く土)とバクテリアの働きにより、においや餌の食べ残し、魚の糞など水を汚くしてしまうものを全て分解します。そのため面倒な水変えは半年~1年に1回で、魚にも良い安定した美しい水質を長期間維持できます。また、CLCコンディショナーにより、水道水の塩素などの魚やバクテリアに有害な物質を無害化、誰でも簡単に、すぐにアクアリウムが始められる水質を作ることが出来ます。
 照明器具もそれぞれの魚や水草の健康、発育に良い波長のものをおすすめしています。これは見る側も光と水と生き物を見ていることによって心が和みますし、癒されます。
 ただ、コケだけは生えてしまうのと、水が蒸発して少なくなってきてしまうので、コケのふき取りと水を足す作業が必要になります。一日5分で良いので魚に愛情を注いでいただければ、魚を育てる環境は確実に維持できます。

p2-中国ヤード

中国ヤード

《生体》
 次に「強い生体」ですが、生体は主に中国から輸入しています。中国と聞くと食品の問題もあり「粗悪」という印象があるかもしれませんが、中国は金魚の産地としては世界一です。対して日本の業者は市場が悪くなって、後継者がいなくなってきているので、土地そのものを売却して事業を辞めてしまう例や、とにかく安くて売れるものという方向に向かって行ってしまっています。中国にも日本国内業者と同じく、大量に安いものを生産しているところもありますが、中にはいいものを作っている業者もいます。弊社では中国海洋大学や中国政府と組んで優良養殖業者に丈夫な生体の養殖を依頼、中国各地13箇所で生体の生産を行っています。それぞれの土地柄もあり、得意不得意があるので、お客さんに魅力を感じてもらえるようなものに指導やアドバイスをしながら生産を行い、そこで養殖された金魚を一度上海に集め、メンテナンスを行い、中国政府と日本の農水省の検査を通ったものを日本に輸入。更に日本では2週間メンテナンスをし、状態の良いものを「金魚王子」ブランドの名前をつけて店頭に泳がせています。
 何度も検査、メンテナンスを加えた最高級品質の金魚を仕入れることにより、より丈夫で健康な魅力ある金魚をお客様に届けています。
 ただ、「金魚王子」ブランドは他の魚に比べ価格が高いです。そもそもお祭りの縁日で泳いでいる金魚は大型魚の餌として利用されることもあり、本来の価値が失われています。そのため、非常に廉価になりすぎており、市場価格の崩壊を起こしています。廉価すぎるものはやはりひ弱ですぐ死んでしまいます。それよりも「金魚王子」は適正価格で、生産者も金魚を作り続けられる利益、お客様も長く飼って可愛がっていただける生体を提供することにより市場価格を本来あるべき適正価格に戻したいという思いもあります。

《飼育方法》
 最後の「きちんとした飼育方法」は、「飼いやすい用品、強い生体」を広める為の小売店で、販売員が適切なアドバイスをお客様にできるよう心がけています。小売店すべて「アクアステージ21」という名称で、直営店はもちろん、オリンピックやカインズ、島忠の店舗内にもインショップとして出店させてもらっています。最近ではイオン幕張新都心やお台場のヴィーナスフォートにも出店しました。幅広く出店し、多くの方に「金魚王子」を見ていただきたいという思いと、すぐ身近にお店があるので気軽に何でも相談していただける環境を作っています。まだまだ、販売員への指導が不十分な部分もありますが、お客様のご自宅まで伺い水槽のメンテナンスを行う等のサービスを行っています。

 

―金魚の魅力を教えてください。

 

 金魚の形、泳ぎ方、美しさ、優雅さなど、あげだしたらきりがありません。また金魚は全て和金(縁日の金魚すくい)をベースに掛け合わせをしたものですのでヒレの開き方や模様など、全く同じ金魚は一匹としていないことも、魅力の一つです。逆を言えば大量生産することによって左右対称でない固体やヒレが折れ曲がってしまった固体も出てきてしまいます。「金魚王子」はそのヒレの開き方や左右不対称な固体なども選定をし、誰が見ても美しいものだけを販売ルートに乗せています。

p2-金魚王子 ブロードテール琉金

金魚王子 ブロードテール琉金

 また、犬や猫と違い、金魚は人とは違う水の中という環境に生きているため、水中の環境を考えてあげられないとうまく飼育が出来ません。逆に、そのことで自分と違う周りの事を考えられ、思いやりのあるやさしい気持ちを持てるようになります。高齢者の方には、金魚を飼育することを生きがいに、社会人の方には昨今ストレス社会といわれている中で癒しのひとときに、小さいお子様には情操教育に(国立大学岐阜大学の研究でも金魚はこどもの情操教育に効果があると研究結果が出ています。)と、金魚の美しさが豊かな心や愛情を育むことも一つの魅力です。
 また金魚は、旅行に行くなどしても一週間はえさをたべないで耐えていられます。金魚自身はお腹がすいて苦しむかも分かりませんが、愛情をもって育ててあげていれば、出先でちょっとは金魚のことも心配だったり、かわいそうに思ったりするでしょう。帰ってきたら、また金魚にえさをあげればいい。ごめんなさい、という思いやりや心の豊かさも自然に生まれてくると思います。

p2-金魚王子 ショートテール琉金

金魚王子 ショートテール琉金

 

―なにか、会社の転機になるような出来事はありましたか?

 

 色々なことがありましたが、やはり一番印象に残るのは取引先の倒産でしょうか。これまでで5回ぐらい、大きいもので2,000万円近くの売掛金を残したまま倒産されたこともありました。ですが、生き物を愛情込めて育てて売っていく商売ですから、どうしてもお人よしになってしまって、取引先にもちょこちょこ引っかかってしまうんです。弁護士さんに相談したこともありますが、「そんなんじゃ世の中、生きていけないぞ、なんのためにやっているのか、分かっているのか、ちょっと考え方を変えたほうがいい。」、と怒られたこともありました。
 でも、変わらずにあるのは、コツコツまじめに一生懸命やっていればいいことあると思っていることです。その都度、苦しい思いはしましたが何とか乗り越えられています。

 

―今の課題を教えてください。

 

 前に述べたような金魚の魅力がまだ十分に一般のお客様に伝わっていないと感じています。それは市場規模の数字からもそのことが読み取れます。ピーク時に1,400億円あった市場規模は金魚、熱帯魚、海水魚、錦鯉、水草、用品、餌などを入れて1,400億です。業界としては非常に小さいですし、現在では500億程度の市場規模しかありません。そんな中でどれだけ、アクアリウムの魅力、飼育する楽しさが伝えられるかが課題になっていると思います。商品の展示方法であったり、目に留まるような印象的な店頭、その魅力を伝えられる店員ときちんとした接客、購入いただいた方へのアフターケアーなど「伝える」という部分がまだまだ足りていないと思っています。
 そのために、若い社員にもっとこの会社、この業界を盛り上げて欲しいと思っています。

 

―将来の夢を教えてください。

 

 私はこのアクアリウム業界に革命をおこし、金魚を日本のみならず、世界の文化にしていきたいと思っています。
 現在の日本の政治家の政治以前の問題や大きく報じられる悲惨な事件、海外での戦争の原因は、自分のことしか考えていない人が多い結果だと思います。そこにアクアリウムがあれば、水の中の金魚に愛情を注ぐことで、優しさや思いやりをもてるようになり、その効果が世界中に広まれば戦争のない世界平和が実現できるのではないかと考えています。
 そのためにはまず、アクアリウムを世界の文化にし、1家庭ごと、各学校、施設ごとにアクアリウムがあるということが当たり前になるように尽力していきたい。そして、われわれは金魚を広めることで、包容力のある寛大な、愛情のある、そういう世の中になってもらえればと思っています。

 

取材を終えて

 お話を聞けば聞くほど、私が思っていた「観賞魚」に対する概念が変わっていきました。実際に金魚が泳ぐ姿を拝見しましたが、ゆらゆらと泳ぐ様は、本当に美しく癒されると感じました。金魚の寿命も10年~20年とすごく長いことも知ることが出来ました。小売店の展示もインパクトのある見せ方をしている店舗もあり、驚きの連続でした。個性あふれる金魚の姿を見に、皆様も一度アクアステージ21のお店をのぞかれてみてはいかがでしょうか。

(木下直人)

 

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金魚王子 http://www.kingyo-oji.jp/
アクアシステム http://www.aqua-system.net/