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第一経理ニュース

随想

マイナンバーは本当に便利なのか?

 


弁護士法人 パートナーズ法律事務所

弁護士 原 和良

 

1 「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(マイナンバー法)が、2013年5月24日、第183回国会で成立し、同月30日に交付された。同法は、2013年1月に施行され、今年10月から国民一人一人に生涯不変の12桁の個人番号が付与されることになる。
 マイナンバー導入の背景は、高齢化社会を迎え、社会保障の公平で効率的な実施のためには、個人の所得を正確に把握する必要があり、税・社会保障分野での活用が予定されている。さらに、それ以外の分野でも、防災の分野、低所得者対策的施策を含むものとして公営住宅と教育の分野における就学支援に関する事務等での利用も予定されている。

 

 2 情報が名寄せされる危険性(情報コントール権)
  情報が名寄せされることによって、クラシフィケーション、カテゴライズ(分類・選別)、ソート(順序づけ、等級づけ)が可能になる。誰が、国家にとって有用な人材か、劣った人材か(健康情報、知能情報等)、誰が時の権力者にとって危険人物か、を権力が情報として取得できることになる。
 これは、個人は人として尊重される、すべての人が自分の人生を楽しみ幸福を追求する権利がある、という憲法13条の想定する人間観と真っ向から対立する事態である。

 

3 個人情報が権力に筒抜け、大事な情報は秘密保護法で国民には公開されない状況が進行する中で、国家と個人の間に、情報の一極集中がなされることは恐ろしいとしかいいようがない。
 そもそも所得の正確な把握は、不可能。社会保障の効率性は、ともすると、生活保護等の削減目的のため全国民を丸裸にすることを意味しないか。住民票を基準に番号付与を前提としていて、住民票のないホームレスなどの社会的救済は念頭にない。
 国家予算の使い途や、議員の政務調査費、政治資金の使い途などこそ、透明性をもっと高めるべきで、まじめに働いている庶民を丸裸にしている場合じゃない、というのが庶民感情ではないだろうか。

 

4 情報漏洩のリスクが指摘され、実際アメリカをはじめ海外では「なりすまし」被害が多発し、一括管理の見直しが検討されているのが趨勢である。にもかかわらず、目的も、膨大な費用をかけての対費用効果も不透明なマイナンバー制度の導入は、単なるIT公共事業のばらまきではないかと批判されている。そのツケは、結局国民にくる。

 

5 マイナンバー制度は、来年スタートするが、今後の運用は当局が言っているように全く未知数である。どのように運用させるかは、今後の国民的な監視にかかっている。人権は、国家(権力)から自分の自由や生命・身体を守る権利である。麻雀で、こちらの持ち牌は、すべて見られていては、対等に勝負はできないし自分の権利は守れない。そのことをもっと用心深く考えた方がよいのではなかろうか。

 

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