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第一経理ニュース

我が社の原点

バナナペーパーで貧困問題解決を目指す!

 

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ミヤザワ株式会社

専 務 宮澤 雅宏 氏(右)
工場長 森川 浩司 氏(左)

 

 「バナナペーパー」読者の皆様は耳にしたことがあるでしょうか。
 一見結びつけるのが難しいバナナと紙。アフリカの途上国ザンビアに対し、フェアトレードを通じて、環境問題・社会問題・経済問題に一石を投じるミヤザワ株式会社。今回、宮澤雅宏専務と森川浩司工場長にお話を伺いました。

 

 聞き手 : 池袋事務所 加藤 泰弘 

 

 

 創業からの歩み

 

―まず会社の創業からの歩みを教えてください。

 

p2-児玉工場

児玉工場

専務 1950年4月に宮澤大典(たけのり)が創業しました。当時は自転車に乗って学校を回り、教材を販売していました。
 1968年に法人を設立し、教材の商社として動き始めます。その後、小売店に卸売をするようになり、卒業証書を入れる丸筒の販売も始めました。
 1984年には児玉工場を建設、かなりの設備投資を行いました。その時期から角筒(従来の丸い筒の卒業証書入れを四角い筒に変え、転がらず証書を取り出しやすくして実用新案登録した商品)を考案し、一気に市場シェアが拡大しました。 
 卒業用品市場を自ら作り、ブック型の証書ホルダーを出すなど、常に市場でトップを走ってきました。現在、卒業用品・教職員向けの教務用品をメインに扱っています。この2つの言葉を使い始めたのも当社が最初なのです。
 2013年1月から新たな事業として、バナナペーパープロジェクトに取り組み、ワンプラネットペーパー協議会の評議委員にも名を連ねています。

 

 そもそもバナナペーパーとは?

 

―バナナペーパーについて教えてください。

 

専務 バナナペーパーというのは、バナナの茎の繊維を使用した紙のことをいいます。
 繊維を輸入しているザンビアという国では、オーガニックバナナを作っており、それが栄養源となっています。バナナの葉は大きいので、食べ物を包んで蒸したり焼いたり、ランチョンマットにも使われます。
 バナナは、約一年で成長しますが、多年草なので茎を伐らないと次が生えてきません。収穫後に茎を伐って、次に出てきた茎が一年で大きくなり、バナナの実が取れ、また茎を伐る。その繰り返しです。伐採したバナナの茎は廃棄されますが、その茎の繊維が紙の原料に適しているのです。廃棄されるバナナの茎から紙を作れば木を一本も切る必要がなく、森林を守ることが出来ます。

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ザンビアにて繊維を取り出す様子

 現地で茎から繊維を取りだし、日本に輸出します。その繊維に古紙を入れながら、越前和紙の技術を使って紙を作ります。それがバナナペーパーです。バナナペーパーは、バナナの繊維を約22%、残りの78%は日本の古紙を使っています。今、日本に和紙メーカーは約200社あるといわれていますが、徐々に衰退しています。越前和紙も有名ですが、技術の継承団体がない等の理由で昨年のユネスコの無形文化遺産登録から外れてしまいました。その越前和紙を盛り上げていきたい、という想いもあります。
 日本の技術を使い文化を守りながら、ザンビアに雇用を生み、貧困等の社会問題解決の手助けにもなる。「メイド・イン・ジャパン」ではなくて「メイド・ウィズ・ジャパン」日本と一緒に作っていこう、という取り組みなのです。それに共感してくれるお客さんたちがいて、なんとか成り立っています。しかし、価格面などの課題もあって、まだ大きく広がるには至っていません。

 

―そのバナナペーパー、工場長から見て、どういった紙なのでしょうか。

 

工場長 今こういったものを作るのは他社ではできないですね。他社ではだいたい機械で量産していて、人の手はほとんどかかっていません。うちの商品でもある卒業証書の筒は、紙を丸めていく作業など人の手が必要です。
 日本人というのは、技術と工夫が得意です。手作業でも、技術力と工夫する力を育ててあげれば、生産性は上がります。
 バナナペーパーはバナナの繊維からできているためか、クセがあまりありません。すごく扱いやすいし、貼り合せる際の糊適性や印刷適性も良く、加工がしやすい。その風合いも好きです。僕はバナナペーパーを初めて扱ったとき、使いやすい紙だと感じました。

 

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バナナの繊維と動物の工作         バナナペーパーを使った商品

 

 バナナペーパーとの出会い

 

―バナナペーパープロジェクトに取り組むきっかけを教えてください。

 

専務 2012年8月、バナナペーパーを世界に広げようと取り組んでいる人がいる、彼らの力になってほしい、と取引先から紹介されたのがきっかけでした。最初に取引先から説明を聞いた時は、フェアトレード、ソーシャルビジネス等々、何を言っているかさっぱりわからず、疑心暗鬼になりました。また、学校商売という堅い商売をやっていて、そういった新たな事業に会社を巻き込んでいくことに対する不安もありました。
 しかし、実際にプロジェクトを進めている方たちに会い、その活動内容などを聞いて、共感でき、信頼もできる、と感じて動き始めたのが11月です。学校関連の仕事がトップシーズンに入っていたので、その時はあまり行動ができませんでした。

 

―その後、どのように取り組まれたのですか。

 

専務 翌2013年の4月から本格的にバナナペーパーに取り組むこととなり、自社のホームページにも掲載しました。
 6月に横浜でアフリカ国際開発会議TICAD Ⅴ(ティカッド・ファイブ)という会議がありました。会議の場でバナナペーパーの取り組みを紹介して欲しい、と依頼があり、各国の外務大臣の前で紹介しました。その間、BSジャパンの「地球VOCE」という番組で紹介されたり、観光庁に取材されるなど、メディアでも取り上げられました。
 そんな中、大手自動車メーカーから会社で使う表彰状とホルダーをバナナペーパーで作りたい、という問い合わせがありました。環境問題に配慮している紙を探していたのだが、社会問題、雇用創出、フェアトレードペーパーというものを初めて知った、ぜひ取り入れたいということでした。バナナペーパーを使った最初の企業でもあり、それ以降も取引が続いています。

 

―その後の手応えはいかがでしたか。

 

専務 一生懸命営業に出ても、中々バナナペーパーの良さをうまく伝えることができない、伝わっていない、と感じることが多くありました。商談の席でよく「あなた行ったことあるの?」と聞かれました。
 そのようなこともあり、実際に現地に行って、見て、触ってこないとわからないな、と思い、2013年8月にザンビアへ行って来ました。
 現地の青い空、空気の美味しさ、数多くの動物たち、豊かな大自然を感じる反面、そこには貧困で苦しんでいる人たちがたくさんいる、そんな現実を目の当たりにしました。
 この経験から自分の言葉で語れるようになり、帰国後は仕事が成約することも多くなりました。

 

p2-ザンビアnite学校風景

ザンビアの学校風景                  ザンビアにて

 

 途上国への支援

 

―現地の貧困問題の話が出ましたが、社会的意義が高い取り組みのようですね。

 

専務 バナナペーパーというのは、エシカルペーパーとも言えます。エシカルとは、倫理や道徳という意味合いの言葉です。エシカルペーパーというと良識にかなって生産、流通されている紙、ということになります。
 バナナペーパープロジェクトに賛同して購入する方は、環境に配慮するだけでなく、労働環境の改善や貧困地域支援など、社会貢献できるような商品を選択して、買いたいという方たちです。
 フェアトレードにも則っています。フェアトレードとは、途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することで、立場の弱い途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指ざす「貿易のしくみ」です。
 先進国の人ばかり裕福になるのではなく、途上国の人たちも一緒に豊かになっていく。所得階層の形を貧困層が多くなるピラミッド型ではなく、中流層が多いひし形にしていこうという取り組みも含まれます。

 

―現地ではどのような変化が起きているのでしょう。

 

専務 廃棄されるバナナの茎から繊維を取り出す仕事で、ザンビアの小さな村に雇用が生まれました。森林の伐採や動物を密猟することでしか、お金を稼げなかった人が、その仕事を辞め、新たな仕事を得ることができました。家の事情により、教育を受けることができない女性や子供たちは、学ぶ機会を得ました。マラリア予防の蚊帳、ろうそくの代わりになるソーラーランプも手に入れることが出来ました。
 自分たちの仕事で様々な製品が作られ、喜んでくれる人がいることを知り、働く喜びとプライドを持つことが出来ました。バナナペーパーは、お金だけでなく心の豊かさにも貢献することができます。
 近年、こういった道徳性への注目が高まり、日本の教育も変わってきています。早ければ2017年にバナナペーパープロジェクトの取り組みが、高校一年生の英語の教科書に登場するという話も出ています。

 

p2-イベント活動にて

イベント活動にて

 

 今後 …

 

―日本だけではなく、環境問題に関心が強い海外でも需要がありそうですね。

 

専務 最近だと、イギリスなどヨーロッパからも引き合いが来ています。紙を使う業界は多様ですから、海外での需要も増えてくると感じています。今後は、海外にもバナナペーパーを積極的に拡大していきたいですね。バナナペーパーの紙もしくは製品を輸出し、ゆくゆくはその国でも作れるようにしたいです。そのためには、製造技術を伝えていく必要があります。

現在、ザンビアには製紙工場がなく、南アフリカからの輸入に頼っています。今後、現地に製紙メーカーができて、そこでバナナペーパーも作れればいいな、と思っています。

 

―今後の展望をお聞かせください。

 

専務 会社としても、私個人としても、環境問題、社会問題、経済問題などを意識しながら、継続的に行動していきたいです。今日お話したバナナペーパープロジェクトは、まさにその3つを満たせる事業です。

働くから経済的に豊かになり、家族も幸せになれる。でも、世の中の環境問題に配慮しなければ、長続きはしないと思っています。

そういった意識を持った人が多くいる会社にしていきたいですね。

 

―本日は貴重なお話、ありがとうございました。

 

編集後記

私の出身大学の購買部では、フェアトレードのコーヒーを売っています。これまで自分たちが普段使ったり、食べたりするものに関して、深く考える機会がありませんでした。今回の取材で、そういったものの背景を意識することが大切だと改めて感じました。

取材の折、実際にバナナペーパーに触りました。高級感のある肌触りでアイボリーホワイトという色合い、味がある紙だと思います。写真にある動物の工作は、普通の紙では出せないリアリティも表現されています。

バナナペーパーを使った商品は、ミヤザワ株式会社のホームページでも見ることができます。皆様も是非、試してみてはいかがでしょうか。

 (柳原 康太)

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