• 【東京・埼玉で税理士事務所をお探しの方へ。第一経理は中小企業の皆様に、身近でかけがえのないコンサルタントとして60年超の実績があります。】

第一経理ニュース

随想

歴史の視点

 

スタビライザー株式会社
代表取締役 阿部 敏夫

 

p11-1 一気に過去を体現する方法が一つある。歴史を出来るだけ正確に知ることだ。NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」は幕末の一部を長州の視点で現実味を提供してくれる。それなら来年の大河ドラマ「真田丸」は何処が舞台だ。大阪城と、もちろん信州上田城だろうと雨の7月に車で現地に向かった。
 中小企業経営者団体・練馬支部の一泊研修である。昨年は富岡製糸場をみて明治期の産業をつぶさに勉強した。今年は経営者の決断を歴史に借りて学ぶことにする。戦国武将の中で常にベスト5の中に入る真田幸村。
 そう、猿飛佐助をはじめ十勇士で名高い家臣団をもつ天下の名将。何故これ程の人気を維持し続けるのだろうか。たぶんそれは侠(おとこ)気と悲劇性である。日本人は負け方に重大な意味を付与するのだ。石田三成しかり忠臣蔵は、なおのこと。
 上田城跡公園は整備されていて見学によし、散歩によしの見どころである。何と言っても関ヶ原の戦いで3万8000人の徳川秀忠軍を2500人の真田軍が引きつけて戦い関ヶ原に延着させたのは有名な話。中小企業経営者の知恵と共通するアイデアをみる思いだ。
 父 昌幸と幸村は西軍(石田三成方)、兄 信幸は東軍(徳川家康方)について、どちらが勝っても家名の存続を図ったのが今回のテーマ「事業存続の決断、真田一族に学ぶ」だ。
 苦労の末存続した、真田家10万石の松代は見学がかなわなかった。江戸時代、上杉鷹山と並び財政再建の鏡とされる松代藩家老、恩田木工(おんだもく)は二宮尊徳がその手法を手本にしたことでも有名。経済危機はギリシャだけのものではなかったのだ。

p11-無言館

無言館

 今回の見学でひときわ印象に残ったのが「無言館」。塩田町近くの丘の上に建つ、コンクリート造りの小さな美術館。
  戦没画学生の作品が戦争の悲惨さを声もなく呼びかけてくる。若い恋人の裸婦像や手紙のかすれた文字が切なくあえいでいる。銃機とは最も遠いところにいた筈の青年の可能性が習作の中に息づいて心に迫るのだ。
 美術館を出ると静かな庭の中に白いテーブルと椅子があり、くつろぎのコーヒーを皆で飲んだ。
 この近辺、定番の北向観音堂よりも前山(ぜんさん)寺が静かなたたずまいを際だたせている。今では珍しい茅葺きの古刹である。月曜日のせいか他に観光客もなく、ゆっくり出p11-3来るのがいい。カメラフレームから、はみ出した三重塔。重要文化財の指定を得てただひっそりとそこにある。平安時代の創建だから災害にもあわず存在するだけで価値がある。とりわけ木造の場合には。
 この学習会、資料を全員輪読のためレジュメと合わせて参加者には事前配布である。今回で10回も続くと立派に前例となる。支部の行事は少しづつ前例となり恒例となっていく。
 宿舎は長野県上田市の鹿教湯温泉、鹿鳴荘。華美でない和風旅館、勉強は会議室での四時間(実質三時間)。
 7月5日(日)、6日(月)の両日、自動車二台での小旅行。東京は雨なのに長野県に入ると晴れ間さえ見えて全員大喜び。宿舎に着く前、小諸城址懐古園を散策しての盛り沢山。充分に英気を養った一泊研修であった。