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第一経理ニュース

我が社の原点

研修は会社の発展に不可欠

 

アスパ 吉村代表 

 

 

株式会社アスパクリエイト
代表取締役 吉村 廣重 氏

 

 働く人の人権の確立と向上こそが研修の中心。ハラスメント、メンタルヘルス、安全対策の3つの柱。設立から10数年、文京区本郷で研修用DVDの製作販売を手掛ける株式会社アスパクリエイト吉村廣重社長にお話しを伺いました。

 

聞き手・文 : 池袋事務所 高橋勝紀

 

ハラスメント対策、メンタルヘルス、安全対策の3つに重点を置く

 

―事業内容をお聞かせください。

 

社長 事業内容は、企業や官庁・自治体向けの研修用DVDの製作販売です。
 作品は「快適職場・健康作り」、「公務員倫理」をはじめ、最近ですと「安全衛生教育」、「自転車のルールとマナー」など200種類ぐらいのラインナップを取り揃えています。
 同業の日経関連の会社や岩波関連の会社と比べると、弊社の規模は小さいので満遍なく提供することは出来ません。
 弊社はハラスメント対策、メンタルヘルス、安全対策の3つに重点を置いています。

 

―その1番目のハラスメント対策とはどのようなものですか。

 

社長 ハラスメントという言葉は最近よく聞くかと思います。この言葉はすごく幅が広くて、もともとはセクシャルハラスメントからスタートしています。セクハラは、どのような場合になるのか、ならないのか、というグレーゾーンがたくさんあります。
 またメディアで取り上げられ広く知られてきたものにマタニティハラスメントがあります。会社で妊婦を置く余裕はない、といって追い出す、自ら退職の申し出をするように追い込むことです。こういうことは雇用機会均等法に違反するし、罰則の対象となります。
 他にパワーハラスメントというものがあります。会社でのいじめのことです。いじめと言っても大人のことなのでなかなか表にでてきません。
 ハラスメントというのは大企業だけでなく、中小企業でも、どこでも起きてくる問題です。働く人の側も我慢している部分がありますが、本当はそういうところから是正していかないと日本社会はまともな社会になっていかないと思います。

 

―2番目のメンタルヘルスというのは。

 

社長 統計では、日本の働く人の3分の1がなんらかのメンタル不調に陥っているそうです。そのために仕事が手に付かなくなり支障が出る、まさに会社にとっても問題です。
 厚生労働省は今年12月から従業員50人以上の会社にストレスチェック制度を実施するように求めていくようです。メンタル不調になる原因というのはいろいろ解明されてきていますが個人差があったりします。長時間労働で月の残業が100時間以上の場合のメンタル面の不調については、労災の対象に認定されています。
 メンタル不調にならないための職場環境の改善、つまり予防のための対応をどうするか、職場では何をする必要があるのか、管理職はどう対応するのかなど観点を共有しなければなりません。

 

―3番目の安全対策というのは。

 

社長 安全は幅が広くて、建設現場で言うと、基本的な動作から入ります。転落事故が一番多いのでヘルメットをきちんと被るとか、命綱をどうするかとか基本的なことまで含めて学ばなければいけません。
 また、建設機械の操縦の仕方は機種により様々です。マニュアルを見てもわからないことがあります。映像をみればすぐ分かるようにしないといけません。
 現在は日本語の分からない海外からの研修生もいます。そういう人達に日本語のマニュアルを見せてもわからない。やはり映像で見せた方が分かりやすいので、そういう形の研修も増えてきています。
 弊社の作品は、これらの状況において、基礎知識、職場の現状、事例、解決方法を映像でわかり易く解説しているところに特徴があります。

 

以前の職場の経験から

 

―どうして研修用DVDの製作に携わることになったのですか。

 

社長 私は以前、経営者と労働組合が内紛状態になった職場を経験したことがあります。私の目からは全てが無責任に思えました。やはりその経験が大きいと思います。
 職場環境を整え、労使が向き合いながら、前に進んでいくための研修の手伝いが出来ればと思いました。

 

研修を軽視してはいけない

 

―企業研修の重要性をお聞かせください。

 

社長 企業経営者も働く人も社員研修というものをすごく軽視していると思います。働く人は自分たちの立場を守るためにもきちんと研修を受ける権利があるはずです。
 現在、企業が行っている研修はアリバイ作りとして行っているといっても過言ではありません。
 例えば、不祥事が起きると、慌てて不祥事対策として研修を行うとか、ハラスメントでも慌てて研修をする。しかし、働く人の側から研修に目を向けて積極的になっていけば、職場環境は大きく改善していくはずです。
 会社は職場環境を整えて気持ちよく働いてもらうために、積極的に研修を行い、社員の自覚も高めてもらう必要があります。
 私は、研修の中心は働く人の人権の確立、それから人格の向上であると考えています。
 研修を受けることで知識等を深めていきます。そこで会社の不備に気が付くこともあるでしょう。そこからその不備を直していく作業が始まります。

p2-ある企業の研修風景

ある企業の研修風景

 職場環境だけでなく経済的にも有効

 

社長 ハラスメントの問題が起きた場合に訴訟問題が起きますよね。判決が出ると200万円とか300万円の罰金、和解でも数千万円の和解金の事例があります。
 そのような状況になって初めて研修をやっておけば良かったということになります。何もやっていないということは会社の怠慢です。
 しかし会社がきちんと研修を行っていれば、会社の責任ではなくて、ハラスメントをやった個人の責任追及になります。
 アメリカの会社のケースですが、利益の何%と決められており、たった1回のハラスメントの事件で何十億円も賠償しました。DVDで研修を行っていれば5万、6万円の費用で済みます。そんなに高いものではないはずです。

 

社会にアンテナを張り巡らす

 

p2-打ち合わせの様子

打ち合わせの様子

―作品のテーマはどのようにして決まるのですか。

 

社長 最初は「何が売れそうかなぁ」から始まります。
 きっかけのひとつに法令の改正があります。
 例えば交通安全規則が変わるとすると、それについていっせいに教育研修が始まるわけですから、それ合わせて作ります。
 もうひとつは不祥事が起きた時です。
 例えば学校でのいじめで子どもが自殺したとか、議員がセクハラをしたとか新聞が大きく取り上げ世間を騒がせます。
 その時、はっと振り返って研修を慌ててするところが増えます。

 

―ユーザーからの意見を参考にしていることはありますか。

 

社長 何年も弊社のDVDを購入していただいているヘビーユーザーがあります。約130社ほどですが営業の際、先方の担当者から意見を聞いてきます。
 企画案を説明し、その方の身のまわりで起こり得る内容か確認します。製作後には購入してもらえるのか感触を掴むことが重要なのです。
 「今、こんな問題が起きている。」というお話しがあれば、積極的に検討する材料になります。

 

製作の苦労は映画を作ることと同じ

 

―DVD完成までに苦労があると思いますが。

 

社長 DVDのシナリオは監修者と綿密に打ち合わせして作りますので、何回も書き直しすることになります。監修は外部の専門家に依頼しています。役員会でシナリオの読み合わせをして、意見を出し合うこともあります。わずか20分とか30分のDVDですが、普通の映画を作ることと同じ苦労があるわけです。
 また、一例ですが安全問題というのはすごく手間がかかるものです。工事現場や建設現場で撮影しないといけません。どこでもみんな企業秘密があるから、簡単に提供してくれるわけではないのです。現場の提供はものすごく難しいのです。
 K建設の現場を使わせてもらうと、O建設やT工務店はそのDVDは使わないものです。最近はCGを使ったり、アニメを使ったりして気を配っています。

p2-DVD-作品の一部

DVD-作品の一部

 

スマートフォンの活用が面白い

 

―これからの事業展開をお聞かせください。

 

社長 研修もだいぶ変わってきました。
 以前はみんなが集まって講師の説明があって、討論して納得して…というのが基本的な研修のパターンでした。
 しかし現在はパソコンで研修をすることが流れの一つになっています。eラーニングシステムという言い方をしています。研修の感想や質問を同時に受けられるようにすることが大企業では始まっています。
 弊社でも、今年新しい取り組みとして、挑戦していることがあります。現代社会では、多くの人が電車の中などあらゆる場所でスマートフォンを使います。そのスマートフォンを使って研修ができないかということがもとになっています。
 そのような中、アプリを使って、研修するというやり方を開発したIT 関連の会社がありました。私も大変興味があったので、実験的に弊社のコンテンツを50種類提供したのです。
 あらかじめ今週は安全問題でこういう研修を行いますから見てください、ということになると、帰りの電車で見られる。もしそれが広がっていけば、例えば月1万円の会費さえ払って、DVDの作品を時間や場所を問わず50種類見ることできます。
 携帯電話の利用者の50%ぐらいはスマートフォンです。スマートフォンの活用が広がっていくと、事業領域がもっと広がっていくのではないかと期待しています。まだ始まったばかりで今後どうなるかわからないのですが、可能性は大きいと思います。
 開発した会社は、グループ会社で社員が3,000名ぐらい在籍しています。その方々がアプリを体験していただけるかどうかです。一定の成果が出れば一般の市場に広げていこうと考えています。
 安定的な収入が見込めれば相乗効果でもっと質の良いDVDを作ることができます。中小企業でも簡単に働く人に研修を提供できます。

 

研修は会社の発展に不可欠

 

 この仕事に携わってから、私は、研修というのは企業規模に関わらず職場環境を整えて、労使が向き合いながら前に進んでいくために非常に大事なことと考えています。
 研修は会社の発展に不可欠であり、企業経営者は研修をもっと積極的に取り組んでほしいと思います。また、働く人も知識や技能等の習得だけでなく、人権の確立と向上があることに気づいてほしいと思います。

 

―本日は貴重なお話しありがとうございました。

 

編集後記

 会社創立当初、本社近くのお店で開かれた、設立パーティーに参加させていただきました。
 当時、社員の方が8名在籍されていました。会社名のアスパクリエイト(・・・)という言葉には、そのような意味も含まれているそうです。当初のメンバーでこれから事業をやっていくという決意の現れでしょう。
 インタビューを通じて研修の大切さを学びました。企業経営者にとっても、働く人にとっても、前に進んでいくために不可欠です。研修が人権や人格の確立・向上につながっていくことにはっとしました。
 また、スマートフォンを活用する実験的な取り組みが紹介されました。これから事業として大きな可能性を感じました。
 余談ですが株式会社アスパクリエイト様から撮影協力の依頼があり、第一経理の社内が撮影現場として使われたことがありました。
 どのDVDで使われたかはお楽しみでご想像にお任せします。