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第一経理ニュース

随想

男の手料理

 

スタビライザー株式会社
代表取締役 阿部 敏夫

 今や秋の風物詩としてテレビや新聞がよく採りあげる。そう山形市馬見ヶ崎河畔の芋煮会。
 ぼくは高校が近所(山形市緑町)のせいもあって同級生同士でよく喰べた。
 秋の農作業が終わると農家の人達だけでなく小学生から大人まで、町内会や会社の行事として競い合ってつくったものである。大抵は土、日曜
 休日。朝から材料をもちよって参加者全員の気働き。

芋煮のコツ
 
材料はまず里芋、一人当たり大三個。次に牛肉(和牛のアブラみ多め)100グラム。シイタケ三枚。コンニャク6切れ。長ネギ少々。
 以上が最低準備する材料。醤油と、つゆのもとで味をととのえる。

  p11 3 じつはこの秋、東京練馬区の光ケ丘公園で恒例の芋煮会を行った。所属する団体の練馬支部の年中行事である。
 子供連れ、お孫さん連れの参加者も多く他支部から駆け付ける常連も必ずいる。
 二十年も前の初回は長瀞の河畔であった。今では参加制限をして二十五名前後、今回はドンピシャの二十五名。家族連れで参加をすれば翌年もとの想いはつのるばかり。すでに話を聞いて来年参加予定の予約も入っている。
 この単純な芋煮、おいしく造るには結構コツがいる。先ず全員に里芋の皮をむp11 2いて貰う。リンゴの皮むきと同じ要領で厚めにむく。慣れない人は小刻みに包丁を使うため手首が痛くなる。
 次にコンニャクは手でチギル、一口大のギザギザが味の染みる要素なので包丁は使わない。牛肉は人数分より最低二割増しで惜しみなく鍋にブチ込む。シイタケ、長ネギはすき焼きと同じ扱いでいい。
 ぼくたちの実際は大き目の寸胴一つと大鍋一つ。里芋の皮むきにはコツがある。切れる包丁、これである。大抵は五、六個むくとイヤになる。切れ味も又味の決め手なのだ。
 最初に適量の水と里芋だけを煮立てる。この段階で参加者は用意されたビールで乾杯をする。
 十二、三分もすれば寸胴鍋の蓋を持ち上げる程のアクが泡立つ。ここからがぼくの出番。
 吹きこぼれないようにアクをとりながら火を少し弱める。まずは第一の関門。米沢近郊の温泉旅館では完全にアクをとって上品な芋煮をだすようになった。京風料理と言うのだろうか。以前は旅館でだす料理ではなかった。今や有名になり郷土料理として定着したせいもある。これは芋煮の堕落である。専門の料理人が造るべき料理では断じてない。農作業のあとに庶民が各々の工夫、味付けで野趣溢れる料理にするのが本来の伝統である。
 正統派のぼくは、そのためにアクはとり過ぎない。そのあと牛肉、シイタケ、不揃いのコンニャク、そして最後にネギを惜しみつつ投入する。味付けの醤油とつゆのもとは適当に。煮詰まると味が濃くなるので最初は少し薄味に。はじめの頃はつゆのもとは使わずに米沢牛を多めに入れていた。まずい訳がないのである。一番の理由は野外で大人数分を造るから。二番目は必ず何かの受け持ち作業のため。
 そして最後は皆んなと一緒に喰べるから。芋煮と芋煮会の差は、まさにこれ。今年の秋もおいしかった。

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