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第一経理ニュース

税制改正

税制改正大綱を斬る 
 ~税額票導入は中小事業者を存続の危機に追い込む~

 

税理士 長谷川元彦

 

 平成28年度税制改正大綱が平成27年12月24日閣議決定されました。
 「軽減税率」の範囲については、マスコミで取り上げられています。しかし、税額票についてはほとんど触れられていません。30年前に廃案になった売上税と同じような「税額票(インボイス)」を導入しようとしています。中小事業者にとっては、事業の存続を危うくする制度です。

 

平成28年税制改正大綱 概要(消費税以外)

税制改正 

「稼ぐ力」のある企業を優遇

 法人税減税をさらに進め実効税率を20%台にしたいという安倍政権の執念を感じさせる部分です。財源は、課税対象の拡大と赤字法人課税の拡大です。課税対象の拡大では、平成28年4月取得分から「建物付属設備」「構築物」の減価償却方法が「定額法」のみとなります。赤字法人課税では、資本金1億円超の大法人の事業税の外形標準課税の税率の引き上げが含まれています。今年度は、見送られましたが、中小法人への課税範囲の拡大が来年度再度検討事項となっています。

 

マイナンバー実施もおぼつかないのに、取扱いを少し変更

 今年の1月1日から税・社会保障・災害分野で適用が開始されています。カードが届かないことや、情報漏洩の危険性の不安が報道されています。
 事業者に情報漏洩防止の過大な義務を課しています。現場では、「こんなことできるのか?」といった状態です。行政側も過大な要求をしていることに少し気が付いたのか、番号不要の書類をいくつか指定をしてきました。この問題では、行政も準備不足ということが明らかになったのではないかと思います。

 

消費税・軽減税率の名のもとに、「インボイス(税額票)」の導入を狙う

 一昨年の総選挙の際に「消費税の引上げを1年半延期する」という公約を掲げて選挙で大勝したのが今の安倍政権です。5%から8%へ引上げてマイナス成長となり、大風呂敷の公共事業と金融緩和を行っています。実質賃金が上がっていないことから、不況から脱却とは言い切れない状態です。しかし、8%から10%への引上げは景気の様子を見ると言う「経済条項」を削除したため、法律の改正を行わなければ、引上げが来年の4月に行われると言う事態です。消費税引き上げそのものを行うかどうか再度、選挙で審判をすべき事柄です。
 そんな中、年末の自民党と公明党の選挙協力をめぐる妥協の産物として決められたと言われているのが、「軽減税率」です。その対象と3年後に導入しようとしている「税額票」について、確認をしていきます。
 ただし書きの部分がマスコミで取上げられているところです。具体例は今後各業界で話題になってくるかと思います。いずれにしても混乱は避けられないでしょう。定期購読紙については、今後消費税引上げのたびに、マスコミ対策として使われないか不安があります。

税制改正② 

インボイスの導入

 軽減税率の対象ばかりが話題になっていますが、事業者にとって、「税額票」(インボイス)の導入は、死活問題になりかねない重大な事柄です。
 現行の、「帳簿方式」を4年間は認めるが、そのあとは段階的に「税額票」がないと仕入税額控除ができないしくみが提案されています。
 現在出ている案を表でまとめてみました。
 「適格請求書等保存方式」と難しい言い方をしていますが、いわゆるインボイス方式です。税務署へ「適格請求書発行事業者」として届出をした事業者の発行した事業者番号入りの請求書しか、計算の対象にできなくなる制度です。
 免税事業者からの仕入れは、消費税の計算では、含めることができなくなります。仕入(細かな経費になるもの含めて)の相手を番号付の請求書が出せる事業者か確認する必要が出てきます。免税事業者と取引するときは、消費税分を仕入れ業者と税務署へ2重に支払う可能性も出てきます。
 免税事業者は、事業者間取引に残るための、「課税事業者の選択」をすることも迫られます。手間仕事の下請けで年間売上高600万円という小規模の事業者でも10%の課税では60万円の消費税の納税をする可能性が出てきます。実際のケースを考えると、現場の混乱、苦悩は必定です。

 

現 行

平成29年4月以降

平成33年4月以降

平成39年4月以降

請求書保存方式

区分記載請求書等
保存方式

適格請求書等保存方式

・請求書等の保存と帳簿記載で控除可

・免税事業者からの仕入控除も可能

・税率ごとの区分を記載した請求書等を保存する

・帳簿で税率ごとの区分をする

・免税事業者からの仕入れ税額控除可能

・登録を受けた事業者の発行した請求書のみ仕入税額控除可能となる

・交付義務あり、不正交付の罰則付き

・免税事業者からの仕入れは、課税事業者と区分する

・3年間は80%控除

・その後の3年間は50%控除

・免税事業者からの仕入控除はできない