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第一経理ニュース

随想

羊山公園をご存じですか

 

スタビライザー株式会社
代表取締役 阿部 敏夫

 

p11-2枚たて ゴールデンウイークは、どうしようと迷ったあげく歩くことにした。いつものコースでは少し寂しいので、同じ年令の友人と目指したのは秩父の羊山公園。芝桜で有名なのだ。西武池袋線の各駅に美しいチラシが用意されていて気になって仕方がなかったのである。
 ところが決行2日前になって猛烈に混むと経験者に教えられる。午前9時集合の東久留米駅を8時に変更して勇躍出発、快晴の2016年4月30日のことである。
 やはり電車は混んでレッドアローは乗れずじまい。まゝよと立ちながら飯能駅まで普通電車。そこで急行に乗り換えて横瀬駅までは小学生の遠足気分。初めて降り立った横瀬駅前には商店もない。それでも見知らぬ街に胸をときめかす。急ぐ旅でもないと駅の売店でうどんを食す。かき揚げ天ぷらが意外とうまく二人でニンマリ。但しビールはお預け。アルコールが入ると歩けなくなるのだ。

  標識を見落とさなければ地図いらずで目的地に到着できる。駅から約20分の近さである。足には負担は全くなく近所の散歩より楽と云っては相棒に失礼だったかナ。毎日一万歩を歩いているせいでごくごく普通の街歩き。
 公園の芝桜は期待を裏切らない程度の見事さと云ったら少しツレない誉め言葉だろうか。30分ほどの見物で帰途につく。帰りは秩父駅からと最初に決めてある。駅での飲食が実は主目的なのだ。急坂を下りきった所に農家の家先で朝どりの筍を売っていた。迷った末に大きく重いのを一本、手に入れる。安い。
 少し歩くと秩父駅である。
 駅の仲見世は半分以上が工事で閉まっている。念願の日帰り温泉施設を造っているのだ。考えた末に“わらじ弁当”をやめ、ツマミを用意してビールで乾杯。空は蒼く空気はあくまでも澄んでいる。これでビールが、うまくない訳がないのである。武甲山も今日は凛々しく見えたし、芝桜に義理も果した。秩父神社を廻ることなく春の陽気を十分に満喫したのだった。
 西武池袋線に乗る度に想い出す詩があって今回も清瀬を過ぎたあたりからその想いは一層募るのであった。それは吉野弘のこの一遍

 

 夕焼け

 いつものことだが
 電車は満員だった
 そしていつものことだが
 若者と娘が腰をおろし
 としよりが立っていた。
 うつむいていた娘が立って
 としよりに席をゆずった

 (中略 二度席をゆずった娘は三度目はゆずらなかったのだ)

 下唇をキュッと噛んで
 やさしい心に責められながら
 娘はどこまでゆけるのだろう。
 下唇を噛んで
 つらい気持で
 美しい夕焼けも見ないで。

 

 東武東上線がモデルかもしれない。それでも僕は西武池袋線に題材をとったと思っている。午後、遅い時間の西武線下りは夕日が眩いばかりに奇麗なのだ。