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第一経理ニュース

ミジカな法律

「株主リスト」をご存知ですか?

 2016年10月1日から改正商業登記規則が施行され、株式会社が役員変更や定款変更による登記を申請するときは、法務局に株主総会議事録とあわせて「株主リスト」を提出することが必要となりました。

 

■1 そもそも「株主リスト」って何ですか?

 株主リストとは、商業登記規則61条で定められたもので、次の内容を記載し、代表者が会社実印(法務局届出印)を押印して証明した書面となります。

(1) 記載する株主の範囲

 ①議決権数上位10名の株主、又は、②議決権割合が3分の2に達するまでの株主のいずれか少ない方を記載することになります。(ただし、総株主の同意を要する場合は、株主全員が対象となります。)

(2) 記載する内容

 ①株主の氏名又は名称及び住所 ②株式数 ③議決権数 ④議決権割合(ただし、総株主の同意を要する場合は割合は不要です。)となります。
 要は、主要株主の情報を記載した書面ですが、会社法で備え置きが定められている「株主名簿」とは、記載すべき内容や目的が異なっているため、区分するために「株主リスト」と呼ばれています。

 

■2 なぜ「株主リスト」の提供が義務化されたのですか?

 制度導入の背景として、株主総会議事録を偽造して虚偽の役員登記を行い、役員になりすまして犯罪や違法行為を行う事件が後を絶たないため、それらを防止する目的があります。また、テロやマネーロンダリングに法人が悪用されるため、その抑止の観点から、会社の所有者情報(株主情報)の透明化を図りたい狙いがあります。
 しかし、実際のところ、記載した株主の実在性や真実性を証する書面まで提出するわけではありません。犯罪や違法行為をする者は、議事録だけでなく、「株主リスト」まで偽造することも予想されるため、どこまで防止できるのか、その効果を疑問視する声もあります。

 

■3 「株主リスト」で注意する点は?

(1) 対象となる法人

 対象となる法人は、株式会社(特例有限会社含む。)、投資法人、特定目的会社であり、それ以外の法人(例:合同会社、一般社団法人・一般財団法人、NPO法人、医療法人等)は対象外です。

(2) 過去の決議や議事録に基づく登記の場合

 過去の決議や議事録の内容を登記する場合であっても、施行日以降に申請する場合は、すべて対象となります。役員の任期が切れていることを忘れていて、慌てて数年前の役員変更登記を行う場合であっても、当時の株主を確認し、「株主リスト」を作成しなければなりません。過去の議事録を提出して登記することもありますので、株主の変遷等の情報管理も重要になってくるかと思われます。

(3) 利害関係人による閲覧の可能性

 提供された「株主リスト」は、法務局に保管されて利害関係人の閲覧対象となります。登記した後、株主等が登記や総会の効力を争う場合など、その前提となる株主構成の確認手段として利用されることが予想されます。
 会社側としては、株主名簿の管理が不十分で、誤った「株主リスト」を提出してしまい、トラブルに巻き込まれることのないよう、注意しなければなりません。

 

■4 最後に

 最近は、登記だけでなく金融機関の取引等でも、株主の情報の開示を求めるケースが増えてきております。今まで以上に、株主の情報の把握や管理の重要性は高まることが予想されますので、この機会に、今一度、自社の株主名簿の整備や株主の状況等をご確認いただければと存じます。

 司法書士 古川 博昭