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第一経理ニュース

税制改正

平成29年度税制改正について

 

税理士 長谷川 元彦

 

 1月20日召集の通常国会で、平成29年度税制改正案が審議されています。配偶者控除・配偶者特別控除の改正が話題になり、年度改正としては、目立ったものは少ないのですが、国税犯則取締法という「強制調査」の法律の改正が盛り込まれています。

 

 

1 配偶者控除は縮小・配偶者特別控除は拡大

 

 大きく宣伝されている、配偶者控除関係です。女性の社会進出を阻害しているとして、「廃止」の議論がありましたが、配偶者特別控除の拡大という改正案になりました。
 詳しく見ると、配偶者控除に居住者(実質世帯主)の所得制限がかかり、所得900万円超では増税となります。(表1)
 配偶者特別控除は、配偶者の所得85万円以下(給与収入150万円以下)では、38万円の控除の適用になり、所得123万円以下(給与収入201万円以下)までは、適用の可能性があります。これも、世帯主の所得により制限が設けられます。(表2)
 配偶者控除のいきなりの廃止での、大増税は避けられたと感じていますが、制度が複雑になり、実務的にはかなり混乱が予想されます。税制の基本である、最低生活費非課税や、応能負担原則に基づいた、基礎控除の見直しなどを含めた根本的な見直しが必要です。  (平成30年分から適用予定)

 

税制改正 表1.2

2 中小企業関係

 

 法人税関係では、大きな改正はなく、中小法人への支援策を継続した形になっています。
 中小法人に適用されている軽減税率(15%)の2年間延長が盛り込まれている一方で、中小法人に適用される各租税特別措置が平均所得金額15億円超の法人への適用制限が入っています。これは、事業規模の大きな法人が資本金だけ小さくして、中小企業の特典を受けようとする動きを牽制したものです。
 役員給与について、「定期同額」が導入されて10年が経過しました。中小企業の実態からすると、かなり窮屈な制度です。今回「社会保険料」の改訂があった場合、手取り額を同額にする変更は「定期同額」と含むという改正案が含まれました。根本的な考え方を変えるべきだと考えますが、実務的な内容に関心があります。
 研究開発費、所得拡大促進税制など、前向きの投資をする法人への、減税措置は拡大の方向です。中小企業の事業承継を進めたいと、相続での株価評価の引下げや、事業承継税制の適用要件の緩和が含まれていますが、実態との乖離はまだまだ大きいと感じています。

 

 

3 国税犯則取締法の廃止(国税通則法への編入)

 

 現在、刑事罰を適用するための「強制調査」は国税犯則取締法により行われ、通常の税務調査は「国税通則法」により行われています。条文がカタカナで古いのは事実ですが、犯罪調査と通常の税務調査は明確に区別すべきものです。十分な議論なく、法律を再編することは行うべきではないと考えます。