• 【東京・埼玉で税理士事務所をお探しの方へ。第一経理は中小企業の皆様に、身近でかけがえのないコンサルタントとして60年超の実績があります。】

第一経理ニュース

昔からの顧問先を訪ねて

2回にわたって連載してきました株式会社パワーさんの“不屈の生き様、三度の危機を乗り越えて”も今月で最終回です。むすびに代えて困難を乗り越えた原動力を三つにまとめています。「経営者というのは、狂気になるまで(中略)考えつくさないと駄目」という渡辺会長の詩“タコの狂気”は圧巻です。是非、ご一読ください。(この連載は当社の相談役、阿部国博が取材・執筆したものです。)

第六話(後編) 株式会社 パワー

五 むすびに代えて

多くの中小企業は、その存続のためにいくつもの困難を乗り越えて、現在に至っている。当社はその中でもとりわけ厳しい困難をよくぞ乗り越えてこられたと思う。その原動力は何か、私なりにまとめてみた。
科学的経営

その第一は科学的経営にある。外部の情報、自社の現状や力量を科学的に分析し、それらの総合の中から、計画や方針を打ち出している。どんなに厳しい状況下にあっても、必ず自社の生きる道、生きる対策を見出している。その特徴の一つは、外に撃って出る中で切り開こうとしている点である。又は将来に向けての手を打っている。しかも、その方針や計画のよって立つ背景を、具体的に社員に説明し、社員の積極性を引き出している。

社員教育

社員教育の重視は当社の一貫した際立った特徴である。全社員を集めて経営計画等を発表する時だけではない。生産部門は週1回、営業部は毎日、会長が経営理念、哲学(考え方)を業務の打ち合わせとは別に早朝会議で説き続けている。経営理念については全文、経営方針はその時、一項目ずつ読み合わせをするという徹底振りである。
こうした社員教育は、誰もが出来ることではない。渡辺会長の優れた資質によるものと思う。
それでも、詩集に残された従業員に対する思いは、経営者・事業主の避けられない宿命のようである。

 

「見当違いをしてはダメ!」
剽軽で 愛すべき
ワタシの会社の
タコ社員よ
キミ達の賃金が
上がらないのは
タコ社長のせいばかりでは
ないのだ
見当違いをしてはダメだ!
世界第二位の経済力と
圧倒的な生産力を持ちながら
このクニの
サラリーマンや国民が
貧しいのは
富は全て
一握りの大企業に集中してしまう
このクニの
構造から来る問題でもあるのだ
コレワ 決して
タコが
責任逃れをするために
言っているのではない
企業の
当然の自助努力として
タコの会社でやるべきコトは
全てやる
日本の繊維製造業が
壊滅してしまった中でも
ただ生き延びるダケでなく
利益をさえ
出して行こうとしているのではないか
アパレルからの
発注の頻度を
着実に高めてゆく
決して諦めぬ
販売部隊の質を高めるために
心血を注いでいるのではないか
剽軽で 愛すべき
ワタシの会社の
タコ社員よ
キミ達が 貧しく
疲れ切ってしまっているのは
会社やタコ社長の
せいばかりではないのだ
見当違いをしてはダメだ!
このクニの 百三十万社の
中小企業と
そこで働く
五千万人もの勤労者が
呻いているのだ
そこを見失ったらダメだ
タコ社長も
この五年間
一銭の給与も取っていない
取れなかったのだ
タコ社員達の識らない所での
金融機関との
キワドい鍔迫り合い
銀行融資が
遮断されているため
火の車の資金繰りの中で
帳尻を無理に合わせてゆく
その 心労
タコ社長も苦しんでいる
このクニの全ての
中小企業と
国民が苦しんでいるのだ
見当違いをしてはダメだ!

 

渡辺会長の事業にかける執念

事業にかける思い入れ、執念、これは顧問先の多くの創業者・社長に共通して感じられることである。渡辺会長は創業者ではないが、とりわけこの意欲はすさまじいものがある。強力でたくましくて、したたかでもある。
これは『タコ社長ブルース』の全編を貫いている。そのひとつを次に転載します。

「タコの狂気」
タコは
寝ても覚めても
狂気になるまで 考えている
最低売り上げ確保のために
何が必要なのかを
新規の顧客獲得の
アプローチの方法改善について
お客様の 本当のニーズは何か
何に困っているのか…
子犬を連れての
朝の散歩の時にも
タコは狂気になるまで 考えている
タコは
寝ても覚めても
狂気になるまで 考えている
最低売り上げ確保のために
何が必要なのかを
既存のお客さんの
営業マンのフォローに
ぬかりは無いのか…
任せっきりになっていやしまいか…
仲間との酒の席の中でも
タコは考えている 狂気になるまで
タコは
寝ても覚めても
狂気になるまで 考えている
最低売り上げ確保のために
何が必要なのかを
営業スタイルの変更について
営業マンは
客の所へどれだけ行っているのか…
訪問件数は少な過ぎないか…
有効な商談が行なわれているのか…
暗い床の中で
眠れぬ闇に目を凝らし
タコは考えている
狂気になるまで……

「経営者というのは、狂気になるまで、あるいは肉体を破壊するまで考えつくさないと駄目です。それが科学的な判断とか洞察力とか、胆力を磨いてくれるのです。そうしないと胆力なんて生まれてこないんです。それがないと一零細企業に銀行との闘いなんて出来ないじゃないですか。」と渡辺会長は言われる。
「そんなに張り詰めてばかりいたら、本当に死んでしまうじゃないか。そうしたらおしまいじゃないですか。」と突っ込んだら会長の次の言葉が跳ね返ってきた。
「もうひとつ感じていることは、挫けないこと。めげないこと。あるいは死んでしまわないということです。そのために何が必要かと考えたら気持ちの余裕なのです。歯車だってあんまりきっちりしていちゃ上手く回らない。ある程度の遊びが無いと駄目なんです。」
渡辺会長の、その遊びにあたる趣味は驚くほど豊富である。音楽、美術、芸術、などなど。音楽会や芝居見物などは、その忙しい日程の中にきちんと入っている。そして読書量も多い。「そういう教養や知識や遊びも、最終的に勇気につながると思うのです。本当の知識は勇気をもたらすものでは……」これも会長の実体験から生まれた名言であると思った。