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第一経理ニュース

随想  No.28

 

映画の楽しみ

スタビライザー株式会社 代表取締役 阿部 敏夫
男の映画であるとしても最近観た映画は押しなべて若さが主題ではない。考えるスクリーンから遠ざかり専らアクションが多い。
その中から2010年公開の「ロビン・フッド」、「バレッツ」、「レッド」の三作品に対象を絞ってみたい。

ロビン・フッドと言えば誰もが想いだす。弓の名人で義賊。少年の憧れのまと。最近では韓国の歴史大河ドラマの英雄、朱蒙(チュモン)。眼を瞑って的を射抜く。那須与一も顔負けである。この映画のポイントは主役のラッセル・クロウ。渋いのである。少し下がり眼で視つめられると心が乱れるのだ。10年前の大作「グラディエーター」は精悍さが物語りを牽引した。今回は彼の円熟味が作品の厚味に貢献している。グラディエーターの場合はチャールトン・ヘイストンのベン・ハーがそそり立つ壁であったろう。史劇のもつ宿命である。それでも映画史に残る作品になったのは間違いない。同じ監督で撮ってもスケールの完成度において前回を超えたとは言えないであろう。期待値は常に若干のハンディを伴うものである。それでも面白い。
とりわけ悲しそうな眼差しは、その時代の苦労を独りで背負ったようで、全て自分の責任であるかのような悲壮感がたまらない。
「バレッツ」はマフィアの映画である。このジャンルは難しい。何と言ってもゴッドファザーがある。マーロン・ブランド、ロバート・デニーロをどうやって超えるか。主役ジャン・レノはアクションを通して裏社会の人生を存在感で描きだす。無精髭ともつかない顔立ちは、かつてのジャン・ギャバンに似てきたような気がする。この人の代表作レオンを卒業しつつあるのではないか。
そしてブルース・ウィルスである。「レッド」は名優モーガン・フリーマンを得て痛快なのだ。考えてみれば皆、ナイスミドルを過去に追いやり今やシニアと言ってよい。動きは敏捷とは言い難くなってきたのだが、このように歳月を重ねるのも捨てたものではないと思わせるところがいい。ダイハードで刑事ジョン・マクレーンを演じて以来、独り言がついてまわる不死身の刑事と言えば、ハリー・キャラハン役でダーティ・ハリーを卒業したクリント・イーストウッドと双璧であろうか。
いずれにしても三作品ともに俳優の魅力で観た映画である。かろうじてロビン・フッドは監督リドリー・スコットとのコンビで面白くない訳がないと興味を

そそられた。
それにしても最近の洋画は破壊的なアクションが多くストーリーの必然性で物語りが織りあげられていく工程が息をひそめてしまったように思える。
新しいモデルの新車が次々にスクラップになり人智を超えた能力に比重が傾きすぎではないだろうか。カーチェイスにしても坂の多いサンフランシスコの街を走りまわったスティーブ・マックイーンのブリットが原点だろう。まさにヤンキースピリットを体現して、これぞ映画との興奮を感じて自分の感性は育ったのである。ハリウッド映画は原点回帰の時機をむかえたのではないか。