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第一経理ニュース

緊急特集 “PRAY FOR JAPAN” 今、私たちにできること

 3月11日の大震災で物的、人的に被害に遭われた方々に、心よりお見舞いを申し上げます。
                                                      
 第一経理でも4月6日に全顧問先を対象とした、緊急相談会を開催し、定員を超える参加申し込みがありました。改めて震災の深刻さを実感いたしました。
 私たちの業種では、支援する物資等はございませんが、税務・労務などの取り扱いや、情報などが提供できますので、特集としました。ご活用いただければ幸甚に存じます。  
                                        


Ⅰ 税務編  ― 震災と税金相談

義援金は経費になりますか?

(1)法人が義援金を寄付した場合

 法人が義援金を寄付した場合には、その義援金が「国又は地方公共団体に対する寄付金」(国等に対する寄付金)、又は「指定寄付金」に該当するものであれば、支出額の全額が損金の額に算入されます。つまり全額が経費になります。国等に対する寄付金というのは、例えば ①被災した各自治体へ直接寄付した義援金、②日本赤十字社や中央共同募金会などが「東北関東大震災義援金」として募集を行っている義援金などです。「指定寄付金」は、中央共同募金会が行っている「地震災害におけるボランテイア・NPO活動支援のための募金」です。
 同業者団体などの募金団体が義援金を募集することがあります。この場合は、寄付した義援金が募金団体を通じて最終的に国又は地方自治体に拠出されることが明らかなものは、「募金団体を経由する国等に対する寄付金」として、全額が経費になります。明らかかどうかは、その募金団体の所在地の所轄税務署が確認します。募金団体の発行する「預り証」に、その寄付金が「国等に対する寄付金」に該当する旨記載されているはずですから、そのことをあらかじめ確認してください。
 以上の寄付金に該当しない義援金は、一般の寄付金として、法人税の計算では、寄付金の損金算入限度額の範囲内で、一部の金額しか経費になりませんから注意してください。

(2)個人が義援金を寄付した場合

 個人が義援金を寄付した場合には、その義援金が「特定寄付金」に該当するものであれば、確定申告で寄付金控除の対象になります。「特定寄付金」に該当するかどうかは、の法人の義援金の場合の国等に対する寄付金と同じです。特定寄付金を支出した場合、次の算式で計算した金額が、所得の金額から控除されます。
(その年中に支出した特定寄付金) - 2000円 = 寄付金控除額
(注)特定寄付金の額の合計額は、所得金額の40%相当額が限度ですが、今回80%に拡大されます。


取引先の支援などの扱いは?

 法人が被災した取引先の復旧支援を目的として、取引先の復旧過程において行った次の費用等は、税務上の交際費や寄付金に該当せず、損金になります。つまり交際費や寄付金には損金算入限度額がありますが、復旧支援の場合は全額が経費になります。

① 災害見舞金の支出
② 事業用資産の供与等のために要した費用
  この場合の事業用資産は、自社製品のみならず、他社から購入したものも該当し、被災した取引先の従業員等に対して供与される福利厚生用品も含まれます。
③ 自社製品等を取り扱う小売業者等に対して、災害により滅失した商品と同種の商品を交換又は無償補填した場合の費用
④ 売掛金、貸付金等の債権を免除した場合の免除相当額
⑤ 既契約のリース料、貸付利息、割賦代金の減免など既契約の条件を変更する場合、又は災害発生後に従前の条件を変更する場合の、既契約との差額相当分
⑥ 低利又は無利息融資を行った場合の通常収受すべき利息との差額相当分
 
 ところで、ある飲食店が、ラーメン300食を不特定多数の被災者のために、現地で無償提供しました。このような場合は、広告宣伝費として、全額が経費になります。


 法人で次のような損失又は費用が生じたときには、損金として、全額が経費になります。


被災した資産や復旧費用の扱いは?

① 商品や原材料などのたな卸資産、店舗や事務所の固定資産が災害により、滅失又は損壊した場合の額
② 損壊した資産の取り壊し又は除去のための費用
③ 土砂その他の障害物の除去のための費用の額
④ 損壊した原状を回復する費用は修繕費になります。被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水又は土砂崩れの防止等のために支出する費用は修繕費になります。

 ところで、法人が災害により被災した従業員(専属下請従業員等を含む)やその親族に対して、一定の基準に沿って災害見舞金を支給する場合には福利厚生費となります。尚、以上は個人事業者も同様です。


個人の雑損控除の特例

 震災で住宅や家財等について生じた損失について、次の措置がとられます。

① その損失額を平成22年分の総所得金額から雑損控除として控除できます。既に平成22年分の確定申告を済ましている人は、更正の請求をして、税金の還付を受けてください。
② 雑損控除を適用して、その年分の総所得金額から控除しても控除しきれない損失額についての繰越期間を、3年から5年に延長します。

*個人事業者の場合、たな卸資産や事業用資産について、震災により生じた損失があるときは、平成22年分の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入されます。                                                        (税理士 菅 隆徳)


Ⅱ 労務編  ―天災や停電による会社の対応Q&A

 去る3月11日、東北地方は未曾有の大地震に見舞われました。関東地方でも、ほとんどの鉄道が一時ストップし、休業を余儀なくされた事業場が多かったようです。その後も放射能漏れや計画停電など、不安定な状態が続いています。
 今回は、このような天災や停電により想定される事例を解説します。

Q 電車の運休で出勤できなかった従業員の賃金や、計画停電により休まざるを得ない時間の賃金はどうしたらよいでしょう?

A まず、災害や計画停電によって、通勤手段がなくなった場ですが、理由がどうであれ、ノーワークノーペイの原則に則って、事業主に賃金の支払義務はありません。ただ、就業規則等に、「公共交通機関の運休や遅延等正当な事由のある場合は賃金の控除をしない」という規定を設けている場合は、その規定にしたがって対応するのが望ましいでしょう。
 次に、計画停電で、休業せざるを得なくなった場合はどうでしょうか。
 労働基準法26条において「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の6割以上の手当を支払わなければならない。」と規定されています。
 震災直後の3月15日に出された行政通達では、「計画停電の時間帯における事業場に電力が供給されないことを理由とする休業については、原則として使用者の責めに帰すべき休業には該当しないこと。」つまり、休業補償をする必要はないと言っています。「計画停電以外の時間帯の休業は、原則として使用者の責めに帰すべき事由による休業に該当すること。ただし、計画停電以外の時間帯を含めて休業とする場合であって、他の手段の可能性、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案し、計画停電の時間帯のみを休業とすることが著しく不適当と認められるときには、計画停電の時間帯以外の時間帯を含めて、使用者の責に帰すべき事由による休業には該当しないこと」としています。
 具体的には、1時~4時まで計画停電が実施されるため、午後は休業にしたという例では、1時~4時までは賃金の支払いの必要なし。4時以降終業時間までは休業手当の支払義務が生じるということになります。ただ、この場合でもテナントのビルが節電のため、1時以降は全館停電というような場合は、休業手当支払いの必要は生じないでしょう。
 しかしながら、長期的に停電が続く場合は、従業員の生活の安定を重視して、何かしらの休業保障を行うことも必要でしょう。


Q 被災地域に支店があり、今後の事業継続が危ぶまれます。どのように対応したらよいでしょう?

A 事業を継続して、休業をした場合に以下の措置を受けられます

① 労働保険料および社会保険料の納付猶予(3月11日以降納付分)
② 雇用調整助成金受給要件の緩和……青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県、新潟県、長野県のうち災害救助法適用地域に所在する事業所の場合、今回の地震に伴う経済上の理由により最近1か月の生産量、売上高等がその直前の1か月又は前年同期と比べ5%以上減少していれば対象となります。
③ 事業所が災害を受けたことにより休止したために、休業を余儀なくされ、賃金を受けることができない状態にある従業員については、実際に離職していなくても失業給付(雇用保険の基本手当)を受給できます。(6ヶ月の納付要件あり)

 また、一時的に事業を廃止した場合も、従業員は以下の措置を受けられます。

① 国民健康保険料の減免、徴収猶予および納期限の延長
② 国民年金保険料の減免
③ 災害救助法の指定地域にある事業所が災害により事業が休止・廃止したために、一時的に離職を余儀なくされた方については、事業再開後の再雇用が予定されている場合であっても、失業給付を受給できます。
                                            
                                            (特定社会保険労務士 加藤深雪)