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第一経理ニュース

本のひととき

『わしの眼は十年先が見える ~大原孫三郎の生涯~』

城山三郎 著
新潮文庫
定価  552円(税別)

第一経理取締役 馬場 正善

 大原孫三郎をご存知ですか?岡山の一紡績会社に過ぎなかった倉敷紡績(クラボウ、クラレのことです。)を日本屈指の大会社に成長させた名経営者です。同時にあの有名な大原美術館(日本最初の西洋美術中心の私立美術館)の創設者でもあります。この本にはそんな大原孫三郎の波乱に満ちた生涯が、城山三郎によって実に巧みに描かれています。
 当時の紡績工場というと「女工哀史」で有名ですが、工員を大部屋式寄宿舎に押し込めるなどして人間的な扱いをしていませんでした。しかし孫三郎はこれを全廃し、プライベートが保たれる独立した分散式宿舎を建ててしまいます。彼は従業員の生活向上と労働者の教育こそが何より大事な仕事と考えていたのです。その考え方を発展させ、後に労働問題を研究する機関として「大原社会問題研究所」(現在は「法政大学大原社研」)を発足させています。戦前のことですから“社会問題”という名称がつくだけでも目をつけられたようです。さらに「倉敷中央病院」、「農業研究所」などもつくり社会に貢献していきます。“社会から得た財産は社会に返す”という強い信念を持っていたからこそできたことです。
 エル・グレコの「受胎告知」、モネの「睡蓮」など世界的名画がある大原美術館。倉敷の街が戦争中に爆撃目標から外されたのはこの美術館が在ったからだそうです。
 あなたも彼が作り上げた美しい街、倉敷を訪ねてみませんか。