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経営のヒント

税務調査最前線

増加する税務調査 ~消費税と相続税の増税が与える影響?!~ 

税理士 保泉 雄丈

 

税務調査の状況分析

 

①税務調査は増えたのか?

 国税通則法の改正により、税務署内部の事務手続きが煩雑になったため、一時落ち込んだ税務調査ですが、それを取り戻すべく調査件数は増加傾向にあります。一方で、件数が増加した分、1件当たりの調査にかけられる日数は減っています。調査にかける日数を増やすために税務署は、事後処理や行政指導の処理を特定の部門に移して、効率的に調査を行えるような体制創りに取り掛かっています。
 第一経理における調査件数は平成26年7月~平成27年6月で36件と、前期の29件から比べて増えています。特に多かったのが相続の調査です。相続税の改正に伴い相続の調査はますます増えていくことが予想されます。

②消費税における取組

 消費税の税率が8%になったことに伴い、簡易課税制度における業種区分の調査や、売上高が850万円~1,000万円の潜在的課税事業者への調査などを強化しています。特に簡易課税制度を適用している会社については、今後全署をあげて業種区分について是正調査を実施していく予定のようです。

③贈与税における取組

 「不動産を購入したら調査に入る」とよく言われますが、最近では「お尋ね」という文書照会を中心とした調査が主になってきています。文書照会の回答内容から、不動産の取得資金に疑義がある者に対して、自発的な贈与税の申告を促すか、又は実地調査に移行するという流れになっています。

 

平成27年6月事務年度にあった調査の特徴

 

 ①社長の通帳

 事例の調査は会社への社長の貸付金が増加していたことについて調査官が疑問に思って調査にあたりました。
 社長個人の通帳に反面調査に入り資金の出所を追及してきました。社長個人の通帳に取引先から売上の入金があり、それを会社に還流させているのでは?と疑ったようです。実際には給与や不動産の家賃を貯めたものを会社に貸していただけでした。最近の調査の特徴として社長個人の通帳を確認してくることが常態化しています。

②特別償却・税額控除

 法人税の計算にあたって、中小企業が新品の機械装置や備品、トラック等を購入した年に多額の償却ができる、又は税額控除を適用できる制度があります。適用にあたっては「新品」であること、「事業の用に供していること」が要件となっています。
 事例の調査ではこの2つの要件を満たしているかの証明を求められました。「新品」である証明はメーカーからの直接取引ではなかったこと、卸売業者が業種目上「修理業」となっていたため曖昧であったことから、証明のために販売店に証明書を発行してもらいました。「事業の用に供していること」は、いつ使い始めたかを証明するため動産保険の加入履歴を提示しました。言葉にすると簡単なのですが、いざ証明するとなると如何に難しいかを問われる案件でした。

③相続の調査

 いずれの調査でも問題になったのが、預貯金についてでした。生前に多額の引き出しがあり、それが何に使用されたのか使途を追及されたもの、名義預金となっているのではないか、と相続人の口座を確認したものがあります。
 相続の調査で問題になる半分以上が預貯金についてです。生前に、亡くなった方の通帳から相続人の口座に多額の資金の移動がある場合や、収入の割に預貯金の残高が少ない場合など、預貯金を中心とした資金の流れが税務調査では非常に問題となります。