2025.01.28 よその会社の賃上げ事情ってどうなってるの?

社長「いろんな物の値段が上がって経営は大変だな。でも従業員さんの給与も上げてあげたい。こんなに厳しい環境だけど、よその会社は賃上げをしているんだろうか?」

こんなこと気になりませんか?

今回は日本商工会議所が2024年4月19日~5月17日の期間に実施した調査の結果をもとに世間の会社が賃上げをしているのかということについて、みていきたいと思います。

 

調査概要

・調査地域:全国47都道府県

・調査期間:2024年4月19日~5月17日

・調査方法:各地商工会議所職員による調査

・回答企業数:1,979社

 

調査結果概要

・2024年度に「賃上げを実施予定」とする企業は74.3%と7割を超えた。

・業員数20人以下の企業では、「賃上げを実施予定」は63.3%。規模の小さな事業所では、賃上げの動きやや鈍く、厳しい状況。

・正社員の賃上げは、【全体】賃上げ額(月給)9,662円、賃上げ率 3.62% 【20人以下】賃上げ額(月給)8,801円、賃上げ率 3.34%

・正社員の賃上げ(業種別)では、その他サービス業、小売業で4%台と高く、運輸業、医療・介護・看護業は2%台にとどまる。

・パート・アルバイト等の賃上げは、【全体】賃上げ額(時給)37.6円、賃上げ率 3.43% 【20人以下】賃上げ額(時給)43.3円、賃上げ率 3.88%

・パート・アルバイト等の賃上げ(業種別)では、医療・介護・看護業、運輸業で4%台後半と高い賃上げ率。

 

調査結果に対する個人的所感

正社員の賃上げ率が低めにとどまった医療・介護・看護業、運輸業が、パート・アルバイト等の賃上げ率の話になると、正社員の場合と逆転して高い賃上げ率の業種になるのは不思議な結果ですね。

 

以上の調査結果からは、世の中には賃上げを実施している企業も多いということが見て取れます。

一方で、普段社労士業務を行っている中での私の肌感覚であれば、賃上げを行わなかった企業も多いのではと感じております。

 

確定的なことは申し上げられませんが、人間の心理として、自分の会社が賃上げを行っていれば積極的に賃上げ関連の調査に協力し、賃上げを行っていなければ、そもそも調査に回答しないということもあるかもしれませんよね。

他の調査でも同じことが言えますが、出てきた結果と社労士の持つ世間の賃上げ実績に対するイメージには、ギャップがあることも珍しくありません。

 

もちろん、従業員のモチベーションや福利厚生の観点から、賃上げが可能なのであれば、賃上げを実施しても良いかもしれませんが、無理に賃上げをしてしまうと、その後業績不振を理由に給与を下げたいと思っても、基本的には下げることができません。

 

ですので、ある事業年度でたくさんの利益が出たけれど来期はどうなるか分からないといった場合には、決算賞与などで従業員の方々に還元してあげるのもいい選択肢かもしれません。(就業規則等の定め方にもよりますが、決算賞与であれば「来期は支給無し」ということも可能です)

 

会社の経営に負担をかけすぎないように、賃上げにも取り組んでいけるといいですよね。

一度上げた給与を基本的には下げられないということについては、いつか記事を書こうと思いますが、それまで待てない方はぜひ第一コンサルティングまでご連絡ください!

日本商工会議所HP内の調査に関するページURL

https://www.jcci.or.jp/news/research/2024/0605110001.html