2026.01.15 従業員がインフルエンザにかかったら?

社長:「先生、困ったよ。営業のA君がインフルエンザだって。忙しい時期なのに……。まあ、熱が下がったって言うなら、マスクさせて明日から出社させてもいいよね?」

社労士:「社長、お気持ちは分かりますが、それはリスクが高いですよ。学校保健安全法に準じた『発症後5日、かつ解熱後2日』という停止期間の目安もありますし」

社長:「そんなに休ませるのかい? 実はあいつ、家でゲームしてるんじゃないかと少し疑っててね。診断書を出させればいいかな?」

社労士:「疑うお気持ちも分かりますが、医療機関に過剰な負担をかける可能性から、職場が従業員に対して診断書を求めるのは望ましくないと政府も見解を示しています。そもそも、こうした際の『出勤停止ルール』をあらかじめ決めていないから、社長も疑いたくなってしまうんですよ」

社長:「……うっ、確かに。ルールが曖昧だと、あいつだけサボってるんじゃないかって気がしてくる。どう決めておけばいいんだ?」

 

【詳細:インフルエンザ罹患時の労務対応ポイント】

従業員がインフルエンザに感染した場合、現場の判断に任せると「無理に出社して周囲にうつす」あるいは「必要以上に長く休む」といった弊害が生じます。

  1. 出勤停止期間の「社内ルール」を明文化する

インフルエンザは法律(労働安全衛生法)に基づく強制的な出勤停止義務はありませんが、一般的に、発症前日から発症後3~7日間は鼻やのどからウイルスを排出するといわれているため、ウイルスを排出している間は外出を控える必要があります。

そのため、会社が「発症後5日かつ解熱後2日」といった具体的な基準をあらかじめ就業規則等で定めておくことが推奨されます。基準が明確であれば、社長の不必要な疑念も晴れ、従業員も安心して療養に専念できます。

  1. 賃金の扱いを明確にする

会社がルールとして一律に出勤停止を命じる場合、基本的には「使用者の責に帰すべき事由」による休業となり、休業手当(平均賃金の60%以上)の支払いが必要となるケースが多いです。ただし、本人が高熱等で明らかに働けない状態であれば、通常の「病欠(無給)」として扱い、有給休暇の消化を促すのが一般的です。

  1. 診断書に頼らない確認方法

現在、医療機関の負担軽減のため診断書発行を断られるケースが増えており、厚労省も、「職場が従業員に対して、治癒証明書や陰性証明書の提出を求めることは望ましくなく、提出は不要」という見解を示しています(厚労省【令和6年度インフルエンザQ&A】より抜粋)。代わりに「処方薬の説明書(インフルエンザ治療薬の記載があるもの)」の写真を送らせるなどの代替案をルール化しておくのも一つの方法です。

【社会保険労務士法人第一コンサルティングができること】

弊社では、感染症発生時に慌てないための「就業規則への出勤停止規定の導入」や、休業手当の計算、「傷病手当金」の申請サポートを行っております。貴社の実態に合わせた無理のないルール作りをアドバイスいたします。