11 2024年
新年座談会
第一経理グループ
代表 大澤 一弘
シェラ インターナショナル 株式会社
代表取締役社長 大高 正章 様
内藤建設 株式会社
代表取締役社長 内藤 賢二 様
革新していく我らの時代へ

長かったコロナ禍が明け、希望に満ちた2024年の始まりに、新春座談会をお届けいたします。70周年の節目を迎えた第一経理は本年度のスローガンに「不易流行」を掲げました。いつまでも変わらない本質的なものを大切に、新しい変化も取り入れていこうというものです。今回は、ともに45歳という若き代表お二人にお越しいただき、ご経験された事業継承のこと、今後の展望、また「我が社の不易流行」についてお聞きしてみました。

コロナ禍を経て、現在の業界の動向と
新たな取り組みについて

大澤 本日はようこそお越しくださいました。まずは、貴社の事業内容と自己紹介をお願いします。

大高 シェラ インターナショナルの大高と申します。先々代が靴の製造機械の会社を営んでおりまして、先代が紳士靴の販売に事業を切替え、私で3代目です。うちは社員は6名ほど。そこにアルバイトやパートのスタッフを含めて約10名でやっています。
2023年12月8日で創業70周年、自社ブランドの「42ND ROYAL HIGHLAND」が40周年を迎えます。数多くのセレクトショップのオリジナル商品の開発も手がけており、一緒に成長してきました。

内藤 内藤建設の内藤と申します。弊社は1971年に父が創業して50余年、私で2代目になります。従業員は現在6名ですが、総合建設業として年間8,000人に及ぶ協力業者の職人さんたちと共に一般住宅から店舗、工場など、さまざまなご依頼に沿って建物を建てています。今活躍されている建築家の先生とタッグを組んでやらせていただくことも多いですね。

大澤 コロナ禍を経て、円安・物価高など経営環境にインパクトを与える出来事が続いておりますが、貴社または業界にどのような影響がありましたか?

大高 業界の動向としては、コロナの影響を大きく受けました。リモートワークの普及と共に、実需としての革靴は不要になったな、と思います。

内藤 我々にはコロナの影響はそれほどなかったと思います。内部留保が溜まっている傾向があったので、生産ラインが動かなくてもその間に設備投資をしようという動きが大きかったのではないかと感じています。それよりも円安による資材の高騰の影響が大きく、うちを含め建築業界全体が苦労しています。

大澤 経営環境の変化が著しい昨今ですが、この数年で行った新しい取り組みはありますか?

大高 第一経理さんにお手伝いいただき、国がやっている事業再構築補助金を申請しまして、2022年11月から新しい事業としてカジュアルウエアとスニーカーのブランドを立ち上げました。リモートワークにも対応するアパレルの企画・開発を社内でおこない、DXで展開しています。
また、これに先駆けてご案内を受けた東京都のテレワーク助成金も役に立ちました。スタッフ全員にノートパソコンと必要なソフトを購入し、在宅勤務中にDXについて学習してもらいました。おかげで事業再構築補助金をご案内いただいたタイミングには、DXを理解できているスタッフが約9割になっていたため、一丸となってDXに取り組めました。スタッフのスキルアップにも繋がったと思います。

内藤 うちも昨年第一経理さんにご協力いただき、特定建設業の資格を取得しました。今までの一般建設業では受注金額にリミットがあったのですが、この資格を取ることで金額に関係なく工事を受注できるようになり、仕事の幅が広がりました。

親族外、親族内の事業継承と
中小企業の強みと弱み

大澤 実は、本日お招きしたお二人には、ともに事業承継された社長さんという共通点があります。どのように事業承継をしたかをお聞かせください。

大高 うちは親族外の承継です。先代とは2016年ごろから事業承継をしようという打ち合わせを何年もかけてしており、第一経理さんと第一法務さんに入っていただきながら、問題なくスムーズに承継することができました。コロナ禍で時間ができたこともあり、新しいことに取り組むチャンスと捉えて世代交代を行う、よいタイミングだったと思います。

大澤 内藤建設さんは親族間の継承ですが、お父様から継ぐことを期待されていたのですか?

内藤 逆に小さいころから「僕がやるから」という感じでしたね。継承の時期については、シェラインターナショナルさんのように計画的ではありませんでした。第一経理さんには、まずいつまでにこれをクリアして、というフローチャートを提示していただきました。そのおかげで交代までの道筋がわかり助かりました。話が具体的になり財務状況などを見てみると、これは大変だなと思い、そこから経営の勉強もはじめましたね。代表に就任したのが2017年。父は2020年1月に亡くなりましたので、相談したくてもできないこともあるのですが、そういうときは第一経理さんにご相談させていただいています。
先代である父と同じことをやっていると周囲からいろいろと言われますので、父がやっていなかった仕事をいろいろ増やしながら、取り組んでいる状況です。
余談ですが、先日うちから1750年以降の家系図と古文書が出てきたんです。それによるとご先祖は3代目から長岡藩の城大工をしていたようです。祖父が大工をしていたのは知っていたんですが、まさかそんな前からやっていたとは思わなかったので、驚きました。

2024年新年座談会

大澤 内藤家にはものづくりのDNAが続いているということですね。
では、次に、中小企業の強みと弱みについて、経営者として実感されていることもお教えください。

内藤 小規模の方が見通しがいいと思います。仕事が少ないときでも見通しがあればどうにかなるので。

大高 確かにそうですね。意志の疎通が図りやすいのも中小企業の強みです。スタッフからこういうものを作りたいという意見も出やすい距離の近さは強みになっていると思います。
一方、規模的に人海戦術が使えないのは弱みですね。突然1万足のご注文をいただいても、求人サイトで急きょ人材を雇ってできる商売ではないので、そこのバランス調整が大変なところです。

大澤 人材の確保・育成についてはいかがですか?

大高 内部のスタッフ人材の確保は第一経理さんとパートナーシップを取ることで解消しています。人事や労務などは第一経理さんにお任せし、私たちは営業力のあるスタッフを育てることに注力できます。
若いスタッフの育成については工夫が必要で、今の若い人たちは SDGsに人一倍敏感ですし、物事の背景にすごく興味があるみたいなので、月1回の商品説明会で、どういう思いや、ストーリーでものを作っているのかを紹介し、販売・営業自体をエンターテイメント化しようと考えています。スタッフは演者としてそれをお客さんに伝え、双方で楽しんでもらえる構図をつくろうと今、切り替えている最中です。

2024年新年座談会

内藤 我々はご用聞きみたいなところがありまして。大手ですとモデルハウスをつくって家を商品として並べられますが、我々はそこまではできないので、大高さんと同じようにストーリー作りが大事だと思っています。建物の用途はさまざまですが、お客様との会話を通して、最終的に満足していただける着地点を物語のエンディングにできるよう心がけています。
人材の育成に関しては、会社では一番私が若手になるのですが…協力業者には若手も多いですね。なかでもうちと身近にいる方たちには、資格が取りやすいように試験を受けるときに手当てを出すなどして、ずっと一緒に仕事ができる環境をつくっています。我々は職人さんがいないと仕事にならないので、そういった取り組みは積極的に行っています。

2024年以降の展望と
今後も変わらず大切にしたいこと

大澤 2024年以降の展望をお聞かせください。

大高 我々はコロナ前の市場に戻ることはないと考えています。さらに少子化が進んでいけば国内のマーケットだけでは事足りなくなっていくと思うので、数年前から始めている海外マーケットの開拓と仮想通貨を稼ぐことに注力していきたいですね。革靴というクラシックなものを扱っていますけれど、ハイテク産業に近いこともやっていかなければなりません。

内藤 2024年は観光業、インバウンドが本格的に復活すると思います。例えば都市部であればホテル関係の仕事、地方であればグランピング施設や温泉旅館などが今動いていたり、ご相談を受けていたりしているので、そういった事業が多くなると考えています。アパートをシェアハウスにリフォームをしたり、そういう仕事も伸びるのではないでしょうか。

大澤 最後に、本誌をご覧になっているみなさんにも何かアドバイスをお願いします。今後、第一経理に期待することなどもお聞かせください。

2024年新年座談会

大高 第一経理さんには税務をはじめ、法務などの方が揃っているので、私たちぐらいの規模感だとそこは全面的にお任せしてしまって、経営資源の方に集中するというのが、ここから先の荒波を乗り越えるのにいいのではないかなと思います。あと、毎年10月の最低賃金改正とか、就業規則内でのルールの改正とか、社長ひとりだと情報のアップデートができない部分も多いので、逐一教えていただけて助かっています。面倒なことは、第一経理さんに全部投げてしまえばいいと思います(笑)。そうすると少し気もラクになりますし、自分がやるべきことが明確になります。

内藤 第一経理さんに期待することは、今まで通り、一緒に密になって仕事をしていただけたらいいと思いますね。現在、第一経理さん、第一パートナーズさん、第一法務さんとお付き合いさせていただいていて、こんなに心強いことはないと思っています。

2024年新年座談会

大澤 さて、新しい取り組みを含むいろいろなお話を伺ってまいりましたが、最後に「不易流行」の"不易"の部分で、会社として今後も変わらず大切にしていきたいことをお聞かせください。

大高 弊社は商売柄、信頼で成り立っていますので、関わりのあるお客様、取引先も含めて「三方よしになる」ということを創業から重んじてきました。働くことが9時5時の8時間、週5でもブラックと言われてしまう時代ですが、それ以上に時間を忘れて没頭できるほど自己実現できる場を提供したいです。信頼し合える人間関係というのが、ビジネスの基本だと思うので、それが入社する人、関わりのある人たちに広がって行く起点になれればうれしいです。

内藤 弊社は基本的な理念として「人の役に立つ」ということを大切にしています。先ほどご用聞きのような仕事の仕方をしていると申し上げましたが、それに応えるための技術力がものすごく大事なんです。自分たちはどういう技術をもってそれを提供できるか。そのために学び続け、技術力を変わらず保ち続けるために精進していきたいと思います。

大澤 本日はどうもありがとうございました。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

シェラインターナショナル株式会社
シェラインターナショナル株式会社

1961年創業。"英国の妥協なき靴づくりの精神を取り入れた日本人に合う紳士靴"をコンセプトに、自社ブランドの「42ND ROYAL HIGHLAND」ほか、数多くの有名セレクトショップやアパレルブランドの靴を手掛ける。素材を含めゼロから自社で企画・開発という徹底現場主義が信条。

シェラ インターナショナル 株式会社

東京都渋谷区恵比寿西1-34-29 シェラ代官山ビル2階
https://www.42nd.co.jp/

内藤建設株式会社
内藤建設株式会社

1971年創業。工場、店舗、住宅をはじめ、建築工事を幅広く手掛ける。人を取り囲む環境や時代背景によって、さまざまな形に変化していく建物。古き良きものと新しき良きもののバランスを大切に、新しい感性の建築家と熟練した技術を結び、これからの建物を提案する。

内藤建設 株式会社

埼玉県川口市上青木西5-22-18
http://www.naito-kk.com/