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2026年
新年座談会第一経理グループ
代表 大澤 一弘
株式会社大慎工業
代表取締役 大関慎也 様
株式会社悦電工
代表取締役 堤悦昭 様
若手社長が語る
SNSとコミュニケーション力
働き方改革や人手不足、ガソリン・材料費の高騰など、建設業界が抱える課題は多岐に渡ります。どのように人材を確保し、持続的に利益を生み出していくか、模索が続いています。今回は建設業界で活躍する30代の若き経営者2名をお招きし、仕事への向き合い方、人材確保への取組み、またSNSの活用法などを伺いました。実り多き2026年を迎えられるよう願いを込めて―― 新春座談会の開幕です。
若き経営者たちが考える
SNSの活用について
大澤 本日はようこそお越しくださいました。まずは、貴社の事業内容と自己紹介をお願いします。
大関 大慎工業の大関と申します。弊社は主に防水工事業で、大規模修繕工事をメインにやっております。新築ではなく、既存の建物の外回り、屋内の修繕も一式請け負っています。
堤 電気工事業を営む、悦電工の堤と申します。家電やエアコンの設置工事から、新築の木造集合住宅の電気工事を主に行っております。
大澤 今回、SNSを使った人材の確保に力を入れている会社ということで、お二人にお越しいただきました。貴社が行っている取り組みについて教えてください。
大関 最初は正直、SNS はやりたくなかったし、出たくなかったんです。でも、会社を成長させるためには必要なツールだと割り切り、まず TikTokとInstagramから始め、その後 YouTubeへと広げました。SNSを始めたのは 2024年12月からなので、まだ日は浅いです。
大澤 1年ちょっとで、3000本ぐらいの動画があがっていて驚きました。YouTube動画から細かく切り抜いて作るショート動画は、接待術、防水の仕事や、人材の話など、ジャンルも多岐にわたっています。いくつかのコンテンツに分けて細かくしているのは、どなたのアイデアですか?
大関 私と広報でやっています。YouTubeやInstagramを見ているのは30代、40代以上の人が多く、TikTokは20代と、特徴があります。YouTubeにはちゃんと伝えたいことを入れ、ショート動画 TikTokはラフな感じできっかけ作りと、使い分けています。
堤 その点については、弊社はちょっと古風な考え方なのですが、ホームページを大元とし、ずっと残り続けるという認識でお金をかけて作り込みました。 SNSを始めたきっかけは、そのホームページを作る時、制作会社の営業マンに「SNSを始めた方がいいですよ」と言われたからなんです。以前は私もSNSに出たくなかったのですが、まずは認知してもらうツールとして、少しずつやり始めました。Ⅹ(旧 Twitter)では電気工事の安全面について発信しています。例えば、高圧電流ですと近づいただけで感電してしまいます。こういうことは言わないと分からないので、しっかり伝えたいです。Instagramは、職人さんが結構見ているので、現場の写真をもっとあげるようにしたいですね。
大澤 堤さんはⅩ(旧 Twitter)の投稿を個人と公式でこまめにやられていますよね。個人の方ではペットの猫のことや、ご家族のことも書かれていて、社長のプライベートの様子もなんとなくわかるようになっています。
堤 そのあたりも大事にしたいと思っています。私は学生時代から人とワイワイするのがちょっと苦手で、独立も一人でしたものですから、営業に苦手意識があったんです。でも営業をどうしようかと考えた時に、ホームページは当然にしても、SNSを駆使してやっていけたら、苦手な分野も克服できるかなぁと。それもSNSを始めたきっかけになっています。YouTubeはまだですが、近々事務所を移転して広くなるので、そこで本格的に始めていきたいと思っております。
大澤 SNSをやられて、採用に何か良い影響があったとか、外部の協力会社さんからこういうことを言われたというのはありますか?
大関 めちゃめちゃありますよ。おかげさまで建設業界では結構知っている人が多くなっていて、どの現場に行っても「動画見ました」と言われます(笑)。採用に関しては、SNSを始めてから10名近く採用し、そのうち離職したのは3名というところです。
“資産価値を守る建物の医者”という、うちのコーポレートスローガンに共感して来てくれた人は続けてくれていますが、“SNSの有名人のところに行きたいな”という感覚で来た人は、建設業は厳しいのでやっぱり続かないです。

働きやすさ、やりがいを求めて
業界を変えたいという思い
大澤 続いて業界の展望と、社長として仕事を通じてやっていきたい夢についてお聞かせください。
大関 現在、建設業は多重下請け構造が主流になっています。うちは今、元請けから一次か二次でやらせてもらっていますが、多層化するほど品質が落ち、管理しきれなくなりますよね。それをどうしようかとなったとき、私たちが一次、なんとか二次までですべての工事を終わらせようと。そうすれば品質を守りつつも単価を落とさず、また管理もしやすくなると思います。
今は5年と10年のロードマップを作って、まず 5年後の売上げを50億にしようと計画しています。そのためにも、会社の基盤をもっと強固なものにしたいです。お金だけで人を集めると長続きしないので、思いに共感してくれた人を仲間に迎え、しっかり還元していきます。それを徹底すれば、「頑張ったら社長は絶対応えてくれるから自分もやろう」という、良い思考のサイクルが生まれます。それがやっとできたので、5年後に向けてもっとスケールアップしていくという段階です。弊社は平均年齢30歳以下の若い会社。“若さ” と“機動力 ”で、まず戦っていくつもりです。
堤 私どもの電気工事業は、資格が必須となります。第二種電気工事士の資格でもかなりのことができますが、単価が低い。第一種電気工事士は、ビル1棟できてしまうような資格ですけれども、資格保有者が少ない。ただ、実際蓋を開けてみると個人事業主が多いのです。これは、電気工事業界特有のブラックさが原因で、独立を選ぶ人が多いからなのです。
私は業界のブラックさをどんどん払拭していく様子をSNSで発信しています。例えば、できるところからデジタル化し、日報は電車に乗っている間に書けてしまったり、出退勤も現場でスマホのボタンを押せば、事務所に出勤せず、直行直帰できるとか。それを見て「個人事業主ではなく、悦電工に勤めてみようかな」と考えてくれる方も出てくるので、SNSのメリットは大きいと思います。また、教育も業界の責務だと考え、まず資格を取るための体制を整えてサポートします。そうやって人が集まり、さらに電気工事の業界の全体の人数も増やしていけるようにしたいと考えています。
大澤 お二人ともアプローチは違えど、業界を変えたいという思いは同じですね。社員の教育について、気をつけていることを教えてください。

大関 安全や命に関わることは、強く言います。技術については、自分の定石を示しますね。若い人は成長したくても何をしたらいいか分からないことが多いので、コミュニケーションは濃く取るようにしています。3カ月に1回は全員と個別に面談し、そこで不安だったり、今の課題だったりを聞いて、困っている人には裏から上手くサポートするようにしています。
堤 弊社は少人数なので、基礎はみっちり1年かけて教えています。気をつけているのが、失敗してもまず報告をしろと言っています。解決法を教えるのは簡単ですが、対応力を身につけるには、本人の考える力を養っていく必要がある。どんどんいろいろな経験をさせるようにしています。
大澤 問題が生じた際は、どのように接しますか?叱り方にも工夫をされていますか?
堤 実は叱る時の言い方も決めています。例えば、感電しそうな事故に関しては強く。何かをし忘れましたという程度だったら、ラフな感じでというように。自分が悪いと自覚していないことも多いので、何でもかんでも叱ることはしないようにしています。
大関 叱った方が早いけれど、そうすると自走しなくなっていっちゃうんです。かと言って何でも聞いてくるスタンスになってしまうのは避けたいところです。ただ、経営者も今、ビビりすぎなのは感じます。言えなくなっちゃっているというか……。でも、本当に相手を思っているから叱るのです。そのあと、日々のコミュニケーションがどれだけ取れているかで変わるのではないでしょうか。
叱られたことに対して、人格が否定されたと受け取る人もいます。今の若者は基本携帯をいじっているじゃないですか。外で遊ばないので、コミュニケーション能力に問題がある。SNSの情報があり過ぎるのが問題なんです。うちも SNSやっていますけど、本当はSNS見ない方がいい(笑)。
堤 私の会社では、ひとりひとりと面談するというよりも、昭和なやり方ですが、定期的に飲みに行く機会を作っています。社員だけでなく、監督や協力会社さんにも参加していただき、コミュニケーションを取っていくと、手が足りないときは応援に来てくださったりするようになり、とても助かっています。
2026年以降のビジョンと
読者へのメッセージ
大澤 最後に、それぞれの会社の今後のビジョンや抱負についてお聞かせください。
大関 来期は、特定建設業※を取得することを考えています。現在、一般建設業を持っているのですが、お客様の層も変わってきていて、特定に進む段階に入っていると感じています。資本金面はクリア出来ていると思うので、あとは会社としてのブランディング力をもっと上げていきたいと思います。経営者としてもっと頑張るというのも、来期の目標ですね。年収1千万円超えの社員をどんどん輩出していくことも、実現していきたいです。
堤 うちの期末は10月末ですが、2026年はRCを本格的にスタートし、サブコンとしても受注を取っていきます。それに伴い、各現場に1人必要になる施工管理技士の採用の強化もしていこうと思っています。可能であれば、現状止まっている設備事業部に人を採用して稼働させていきたいですね。中期的には関東他県に支店を出して、その地域の家電工事を取っていきたい。電気工事業も神奈川、埼玉の第二営業所、千葉に広げるつもりです。長期的には関東、関西、九州の3 拠点を持ち、住宅設備関係との M&Aを進めたいというビジョンもあります。
大澤 若手を率いる経営者として、読者にメッセージがあればお願いします。
大関 社員にきちんと還元していくのが大事だと思います。会社的にはキツイですがそれは最初だけで、何でも投資だと思います。まずは、自分の社員を大事にして稼がせる。それが良い仕事に繋がる。これも実体験として分かっているので、良いサイクルを作ることを一番意識しています。その辺の情報は、SNSにいっぱい出しているので動画を見てもらえれば。そして共感できる人は、ぜひ試してみてください。
堤 いことだけじゃないのは、どこの業界も同じだと思うので、その辺は腹をくくっています。例えば、自分のワークライフバランスを言っていたら経営者にはなれない。ある程度自分を犠牲にしても従業員を上げていく覚悟が必要だと思います。ただ、頑張ったら頑張っただけ自分にも返ってくるので、まずはお客様を満足させる。そして、社員へ還元していく。“良いことをして、良いことをする”というのを大事にしたいです。

大澤 今日のお話の中で、コミュニケーションの大切さや、時代とともにやり方を変えていく柔軟性の重要さが良く分かりました。SNSというツールの話が今回の座談会の主体ではあったのですけれど、結局はそれを使って何をするかがポイントになりますね。
本日は、貴重なお話をありがとうございました。
※ 建設業許可は、下請契約の金額によって「一般建設業」と「特定建設業」に区分されます。主な違いは、下請契約の金額と元請としての責任の重さです。特定建設業は、大規模な建設工事を元請として請け負い、下請契約の合計金額が5,000万円以上(建築一式工事の場合は8,000万円以上)になる場合に必要です。
株式会社 ⼤慎⼯業
2020年12月に会社を設立。東京都北区を中心に、外装塗装や屋根・防水工事を手掛けている。SNSに力を入れており、採用のツールにもなっている。
東京都北区昭和町2-1-16 ベルヴィラージュ尾久 デュエトーレ1階
【HP】https://daishinkougyou1210.net/
【YouTube】 @shinyashacho
【TikTok】 @daishinkogyo_1210
【Instagram】@shinyashacho
株式会社 悦電⼯
独⽴後、2020年4⽉に会社を設⽴。埼⽟県を拠点に、新築⽊造集合住宅の電気⼯事をメインに、その他エアコンの設置⼯事も⼿掛けている。⾃社ホームページでの発信に⼒を⼊れている。
埼⽟県富⼠⾒市東⼤久保504-1
【HP】https://www.etsudenko.com
【X】@etsu_denko_Inc
【Instagram】@etsu_denko